政府は携帯電話の契約時に、マイナンバーカードなどのICチップを読み取るよう義務付けることを決めました。
マイナンバーカードの保有は任意ですが、利用しないと損をしたり、不便になったりするケースが増えてきています。
■携帯契約時に“マイナカード必須”で賛否
携帯電話を購入する際の本人確認証が今後変わります。
6月18日、政府は、詐欺被害での携帯電話の悪用を防ぐため、携帯電話契約時の本人確認に、マイナンバーカードなどに搭載されたICチップの読み取りを義務付けると閣議決定しました。
今後、携帯電話を契約する時の本人確認の方法です。
対面での『窓口契約』の場合です。マイナンバーカードの裏面には『ICチップ』が付いています。
マイナンバーカードや免許証など付いている『ICチップ』に登録されている情報を読み取り、本人確認を行うことを義務付けます。 『オンライン契約』の場合です。
本人確認を原則、マイナンバーカードの『ICチップ情報』で行うことに一本化するということです。
いずれの方法も、実施時期は未定です。
携帯契約時の本人確認方法(今後)マイナンバーカードの保有率は、5月末日時点で、約73.8%です。
ただ、マイナンバーカードを持つかどうかは『任意』です。
約3割いるマイナンバーカードを持っていない人への対応について、
「マイナンバーカードだけが、本人確認の方法として残るわけではない。何を残して何を残さないかをこれから検討していく」
ということです。 マイナカード保有は約7割 未所持者への対応は?
ICチップでの本人確認の義務化に賛成の人の意見です。
20代の男性「ICチップの義務化には賛成。リスクはあるかもしれないが、便利になると思う」 80代の男性
「ネット社会でクレジットカード、ポイントカードなど何を登録するにも個人情報を入力しているので、そこまでリスクは気にならない」 ICチップでの本人確認義務化に賛成派
一方で、義務化に慎重な人の意見です。
30代の男性「(マイナンバーカードを)なくした時にどう対処すればいいか不安」 70代の女性
「携帯ですら落とすと怖いから、マイナンバーカードの管理体制が不安。
情報が筒抜けになるかもと思ってしまう」 ICチップでの本人確認義務化に慎重派
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■ICチップ読み込み“義務付け” 背景に特殊詐欺 高額被害も■ICチップ読み込み“義務付け” 背景に特殊詐欺 高額被害も
政府が携帯契約にマイナンバーカードなどのICチップの読み込みを“義務付け”とする背景です。
特殊詐欺に利用された携帯電話回線です。
契約時の本人確認書類が把握されているものは、619回線でしたが、そのうち、偽造された本人確認書類で契約されていたのが419回線です。
約7割が、偽造された本人確認書類で契約されていました。
偽造された本人確認書類による被害です。
大阪・八尾市の松田憲幸市議です。
4月末、スマートフォンの電波が突然途切れたため、地元の携帯電話ショップに相談しました。
すると、店員から、
「本日15時に名古屋の店舗で機種変更されています」と言われました。
そこで、名古屋の店舗に確認したところ、何者かが松田市議に成りすまして、マイナンバーカードを提示し、店舗側は目視で本人確認を行っていたことが分かりました。
これにより、ネットショッピングなどで、総額約242万円の被害を受けました。
「本人確認には、本人確認書類を目視で確認するのではなく、マイナンバーカードまたは運転免許証のICチップ読み取りが、一番確実な方法だと言える」 河野太郎デジタル大臣
マイナンバーカードのICチップのセキュリティ対策です。
主に2つあります。
暗証番号を一定回数間違えるとロックされます。 2つ目が、不正にICチップから情報を読みだそうとすると、ICチップが自動で壊れます。 マイナカードICチップのセキュリティ対策 中央大学の宮下紘教授です。
「マイナンバーカードは、もっとも強力な本人確認証。ICチップを偽造した例は聞いたことがない。一方で、 ICチップ付きのカードを持っていない人への『配慮・対策をどうするか』が重要。カードの有無で携帯契約などに差があってはならない」 中央大学 宮下紘教授
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■マイナカードで割引も…普及進める政府の狙いは?■マイナカードで割引も…普及進める政府の狙いは?
政府のマイナンバーカードの普及策です。
保険証とマイナンバーカードをひも付けた、マイナ保険証です。
厚労省は、マイナ保険証の利用者数を増やした医療機関や薬局に一時金を支給していますが、6月21日、それを倍増して、期間も延長することを決めました。
●期間が5〜7月
●金額は、病院が最大で20万円、クリニックや薬局は最大10万円でした。 これが、
●期間は1カ月延長して、8月末まで。
●金額は、病院が最大で40万円、クリニックや薬局は最大20万円になります。 「マイナ保険証」利用促進策
背景には、利用率の伸び悩みがあります。
従来の保険証は、2024年12月2日で廃止されます。
マイナ保険証の利用率は、5月の時点で、7.73%です。
政府が利用促進を急ぐあまり、窓口で現行保険証を受け付けないなど、『強制』ともとれる対応が問題になっています。
マイナ保険証をめぐるトラブル政府は、マイナンバーカードの普及率によって、自治体に差をつけています。
総務省は、2023年度と2024年度の地方交付税に、500億円のマイナンバーカード利活用特別分を加え、マイナンバーカード交付率の高い自治体ほど、交付税額を積み増すことを決めました。
マイナンバーカードが普及している自治体を優遇するかたちです。
岡山県の備前市です。
「政府のマイナンバーカード利活用のお金をあてにしたわけではない」
ということですが、2023年2月、世帯全員がマイナンバーカードを取得することを条件に、
●小・中学校の給食費などの、無償化を決定しました。
これに、市民団体などから5万人を超える反対の署名が集まり、備前市は、
2023年4月、“国の地方創生臨時交付金で財源が確保できた”として、マイナンバーカードの取得が条件という方針を撤回しました。
「保育料・給食費は、デジタル化と全く無関係。デジタル化に関係のない政策に、カード普及を結びつけるべきではない。国や自治体がカードの有無で不当な差別をすれば、憲法の平等原則にも反する」
としています。 中央大学 宮下教授
パスポートの申請です。
2025年3月から、全国でマイナンバーカードを使ったオンライン申請の受け付けが始まります。
現在の10年有効パスポートの発行手数料は、1万6000円です。
これが、マイナンバーカードで申請すると、100円引きの1万5900円。書面での申請(窓口での申請)だと、300円プラスの1万6300円
になります。
料金の差の理由は、
「申請時の業務にかかる人件費や経費を踏まえた」ということです。
医療費です。
窓口負担が3割の人の場合です。それぞれの負担額ですが、
初診料は、マイナ保険証だと3円ですが、現行の保険証だと9円です。
再診料は、マイナ保険証だと3円ですが、現行の保険証だと6円です。
薬局での調剤は、マイナ保険証だと3円ですが、現行の保険証だと9円
です。 マイナ保険証で医療費も割引
政府はなぜここまでマイナンバーカード普及を熱心に行うのでしょうか?
デジタル庁の担当者は、「マイナンバーカードは、対面に加え、オンラインでも確実な本人確認ができる。安全安心なデジタル社会の『パスポート』」
「カード普及により、対面でもオンラインでも、いつでも本人確認できる。インフラが整いつつあるため、官民のサービスにおいて、利活用を広めていく」
と話しています。 マイナカード普及に熱心 なぜ? 宮下教授です。
「マイナンバーカードが、利用者に使い勝手の良いものとなっていない。カードがない人に不便を強いるのではなく、カードがある人に利便性を見せていくことが大切。安心で便利なカードなら自然と利用する」 宮下教授「マイナカード使い勝手良いものになっていない」
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■身分証明と保険証の一体化 海外では?■身分証明と保険証の一体化 海外では?
海外では、マイナ保険証のように、個人情報の一体化を進めているのでしょうか?
2023年7月、当時の加藤厚労大臣は、「G7各国の状況を見ると、ICチップ付きの身分証明書となるカードを健康保険証として利用できるという国は、我が国以外はない」
と説明しました。 加藤勝信 厚労大臣(当時)
例えばフランスでは、社会保障の番号や身分証の番号など各行政機関で異なる番号を使って、個人情報を管理しています。
過去には、1972年に個人の情報を1つに集約する計画が検討されましたが、個人の自由を制限するという社会批判を受けて、中止しています。
「ナチスによる個人情報の乱用の歴史があるドイツやフランスでは、1つの番号で個人情報を管理することが拒否され続けてきた」
ということです。 個人情報を1つに集約しない理由
(「羽鳥慎一 モーニングショー」2024年6月25日放送分より)
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