島根県が未買収の私有地に砂防ダムや道路などを造成する不適切な公共工事を複数回行っていた問題で、県が2月に土木部長(当時)に対して「特別注意」を行っていたことが判明した。県によると、特別注意は地方公務員法に基づく懲戒処分ではなく、再発防止に向けた注意喚起だという。この問題を巡って懲戒処分を受けた職員はいない。
特別注意を受けた土木部長は、不適切工事の問題が発覚後に就任。直接問題には関与しておらず、既に退職している。
毎日新聞が情報公開請求で入手した資料によると、特別注意は2月8日付。不適切工事について「県民の県行政に対する信頼を著しく損なう」とした上で「再発防止に最善の努力を払うよう、特に注意する」としている。
一方、不適切工事に直接関与した職員やその管理職について、県は処分を見送った。県人事課によると、不適切工事は「組織的問題」で、「基本的に管理職が処分対象」と判断。しかし、当時の管理職の大半が既に退職しており「残っている管理職だけ処分したら不公平で、再発防止の効果が薄い」との理由で処分しなかったという。退職した管理職の数などの詳細は、明らかにしなかった。
県では、カラ出張が発覚して1997年に大量の職員が処分された際にも、当時の部長級職員が特別注意を受けた。県によると、今回の特別注意はそれ以来とみられる。
県は22年3月、出先機関が発注した砂防ダム工事で用地約2370平方メートルのうち約640平方メートルが未買収だったと発表。同年6月には、さらに同様に未買収用地に公共工事をしていたケースが新たに7件あったと明らかにした。
問題発覚後、県は私有地の買収手続きを進めているが、26日現在、解決したのは8件中4件にとどまる。損害賠償が発生した事案もある。【目野創】
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