沖縄は23日、第二次世界大戦末期の沖縄戦の犠牲者らを悼む「慰霊の日」を迎え、最後の激戦地となった沖縄県糸満市摩文仁(まぶに)の平和祈念公園で、県と県議会主催の沖縄全戦没者追悼式が営まれた。玉城デニー知事は「平和宣言」で、米軍基地の集中に加え、自衛隊の増強が進む沖縄の現状について「無念の思いを残して犠牲になられた御霊(みたま)を慰めることになっているのか」と問うた。
玉城知事は今年も、しまくとぅば(沖縄の言葉)や英語を交えながら、平和宣言を読んだ。
日米両軍の激しい戦闘に住民が巻きこまれ、兵士を含め約20万人が命を落とした地上戦から79年。「私たちは悲惨な体験から戦争の愚かさ、命の尊さ、平和の大切さという教訓を学んだ」とし、「今日、私たちの祖先(うやふぁーふじ)は、今の沖縄を、世界をどのように見つめているのでしょうか」と投げかけた。
そのうえで、米軍による事件・事故や環境問題などの過重な基地負担が続く中、自衛隊の軍備増強が急速に進められる現状について「悲惨な沖縄戦の記憶と相まって、県民は強い不安を抱いている」と懸念を表明。1972年の日本復帰にあたって政府が出した声明で「沖縄を平和の島とすることこそ、われわれ国民の誓いでなければならない」としたことを引き合いに、政府に米軍基地の整理・縮小や、普天間飛行場(宜野湾市)の辺野古移設計画の断念などを求めた。
また、ロシアによるウクライナ侵攻やパレスチナ自治区ガザ地区を巡る情勢の他、米中対立や中国の軍事力の強化に言及し、「各国・各地域に求められているのは、平和的外交・対話などのプロセスを通した問題解決です」と強調。「祖先に対して誇れる沖縄でありたい」と訴え、近隣諸国と交流し、信頼関係を築いてきた沖縄の歴史にならい、独自の地域外交で平和構築や緊張緩和に貢献する考えを示した。【比嘉洋】
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