沖縄は23日、第二次世界大戦末期の沖縄戦の犠牲者らを悼む「慰霊の日」を迎えた。最後の激戦地だった沖縄県糸満市摩文仁(まぶに)の平和祈念公園で県と県議会主催の「沖縄全戦没者追悼式」が営まれ、参列した岸田文雄首相があいさつした。あいさつの全文は次の通り。
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令和6年沖縄全戦没者追悼式が執り行われるに当たり、沖縄戦において、戦場に倒れられた御霊(みたま)、戦禍に遭われ亡くなられた御霊に、謹んで哀悼の誠を捧(ささ)げます。
先の大戦において、沖縄は、凄惨(せいさん)な地上戦の場となりました。人々の平穏な暮らしは、にわかに戦乱の渦に巻き込まれ、罪もない民間人を含め、20万人もの尊い命が奪われ、この地の誇る美しい海や森、豊かな文化は破壊されました。不発弾の処理やご遺骨の収集は、今もなお続いています。多くの子供たちの命が奪われた対馬丸事件のような耐え難い出来事もありました。こうした沖縄戦の悲惨な実相と平和の尊さを次世代に継承していくことは、我々に課された責務です。
平和の礎(いしじ)には、今年も181名のお名前が新たに刻銘されました。平和の礎に刻まれた一人一人の戦没者の無念、残されたご遺族の方々の悲しみや喪失感を思うとき、胸塞がる思いを禁じ得ません。
私たちが享受している平和と繁栄は、命を落とされた方々の尊い犠牲と沖縄の方々の筆舌に尽くし難い苦難の歴史の上にあることを、改めて深く胸に刻みながら、静かに頭(こうべ)を垂れたいと思います。
来年には沖縄戦から80年を迎えます。これまで県民の皆様のたゆまぬ努力もあり、沖縄経済は着実に成長し、県民生活も大いに向上しました。
美しい自然、アジアの玄関口に位置する地理的特性、国際色豊かな文化や伝統。こうした魅力や優位性を最大限に活(い)かしつつ、「強い沖縄経済」の実現に向けて、国家戦略として、沖縄振興を総合的に進めてまいります。
他方で、今もなお、沖縄の皆様には、米軍基地の集中等による大きな負担を担っていただいています。政府として、このことを重く受け止め、負担の軽減に全力を尽くしてまいります。
来年春には、今後の跡地利用のモデルケースとなる西普天間住宅地区跡地に、高度な医療・研究機能の拡充や地域医療の向上に繋(つな)がる健康医療拠点が誕生します。
引き続き、在日米軍施設・区域の整理・統合・縮小を進めるとともに、こうした目に見える成果を一つ一つ着実に積み上げてまいります。
戦後、我が国は一貫して、平和国家として、その歩みを進めてきました。戦争の惨禍を二度と繰り返さないという強い決意の下、世界の誰もが平和で心豊かに暮らせる世の中を実現する。この決意を貫き、後世にまで伝えていくことを、改めて御霊にお誓いいたします。
結びに、この地に眠る御霊の安らかならんことを、そしてご遺族の方々のご平安を、心からお祈りし、私の挨拶(あいさつ)といたします。
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