神戸市の甲南大2年の男子学生が2018年、「学園祭の模擬店の売上金を横領した」などの誤った事実を理由に文化系クラブを強制退部させられ、その情報が広まったことで自殺したとして、学生の母親が当時のクラブの部長らに5000万円の損害賠償を求めた訴訟の判決で、神戸地裁は19日、学生への名誉毀損(きそん)を認め、元部長らに計100万円の支払いを命じた。
判決によると、上級生である元部長らは18年3月、「学生が(17年11月の)学園祭の模擬店の売上15万円のうち3万円を横領した」などと記載した文書をメッセージアプリに投稿し、学生を強制退部させた。学生は大学側に相談したが「ハラスメントには該当しない」と判断された。同10月、学生は「自殺に至った主な原因は3月に起こった部および文化会による名誉毀損などによる精神ダメージ」などと記した遺書を残して命を絶った。
河本寿一裁判長は文書の投稿が学生の社会的評価を低下させたと認定した一方、「記載内容が直ちに抗議の自死を選択させるとはいえない」と自殺との因果関係を否定した。
母親は判決後に取材に応じ「息子は犯罪者のように仕立て上げられ、無念の中で亡くなった。因果関係が認められなかったことは残念。被告らからは謝罪の言葉もなく、命の大切さについて考えてほしい」と話した。【大野航太郎】
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