住民らの協力で側溝から助け出された子猫=大阪府羽曳野市で2024年6月12日(住民提供)

 大阪が真夏日となった12日の昼間。大阪府羽曳野市の住宅街で、道路脇の側溝に落ちた子猫の救出劇が繰り広げられた。付近の住民らが前日からあの手この手でアイデアを出し合い、小さな命は無事に助け出された。

 市内に住む澤田菜穂さん(49)は11日の昼ごろ、自宅近くの側溝から動物の鳴き声がするのを聞いた。

 近所の人らと確認すると、側溝から地下へ斜めに延びる配水管の中に、片手に乗るほどの子猫がいた。深さ5メートルほどの場所におり、側溝は縦約40センチ、横約20センチしかなく人は入れない。消防や水道局の職員も駆け付けたが、どうすることもできなかった。

地面に寝そべって側溝の中にいる子猫の様子を確認する住民=大阪府羽曳野市で2024年6月12日(住民提供)

 しかし、澤田さんら近所の人たちは諦めなかった。4、5人が集まって餌を付けたロープを配水管に投げ入れたり、スマートフォンで猫の鳴き声を流したりしておびき寄せようとしたが、子猫は出てこない。澤田さんらの周囲では、親とみられる猫が心配そうな様子で行ったり来たりしていた。

 日が暮れたため、この日の救助は断念。翌朝から再開した。強い日差しが照りつける12日の昼過ぎ、今度はロープに網を絡ませて子猫がひっかかりやすいように工夫した。澤田さんがゆっくりとロープを入れた瞬間、子猫が顔をのぞかせた。「よいしょ、いける」。そのまま網に乗せて一気に引き上げた。

 救出された子猫を澤田さんが抱き上げると「ニャー」と大きな声を上げた。汗だくになって見守っていた住民らから、拍手がわき起こった。

 その後、子猫はボランティアの人に引き渡されたという。親とみられる猫も保護してあげられたらと、行方を捜している。澤田さんは「子猫の鳴き声が途中で小さくなった時は不安だったが、近所の人たちと力を合わせて奇跡的に救い出せてよかった」と胸をなでおろした。【中田敦子】

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