東北6県の2023年度の多重債務者相談は計377件に上り、20年度以来3年ぶりに増加に転じたことが東北財務局(仙台市)のまとめで分かった。借金のきっかけは「定収入・収入の減少」が最も多く、財務局は「借金の額や借入先の数で増加している部分もみられ、物価高の影響も一定程度あるとみられる」としている。
各地の財務事務所で受けた相談件数は、東北(仙台)161▽山形93▽青森49▽福島34▽秋田25▽盛岡15――だった。
相談者の年齢は、60代以上が最多で4割弱を占める一方、20~40代の相談も増えた。平均年齢は53・2歳で、前年度(55・3歳)を下回った。年代別では、60代以上(37・1%)▽40代(18・6%)▽50代(18・3%)▽30代(12・7%)▽20代(8・8%)――の順に多かった。職業別では、給与所得者(45・6%)が最多で、無職(33・4%)、自営・自由業(17・8%)が続いた。
借入先の平均は4・1で、前年度(3・6)を上回った。3~4▽7~8▽9~10――の割合がいずれも前年を上回った。
借金額は相談件数が多い順に、100万円未満(18・8%)▽100万~200万円未満(17・8%)▽1000万円以上(17%)▽500万~1000万円未満(12・5%)――だった。200万円未満が全体の4割弱を占め、300万~400万円未満(9%)が前年度(5・4%)に比べ増加が目立った。借入額の平均は771万9000円で、前年度(629万円)より142万9000円増えた。
借金のきっかけ「生活費不足」が3割強
借金のきっかけは「定収入・収入の減少(生活費や教育費などの不足)」が全体の3割強を占めた。「事業資金の補塡(ほてん)」▽「住宅ローンなどの返済」▽「ギャンブル・遊興費」▽「本人・家族の病気など」――の項目が前年度を上回った。
30代の男性は借金が総額460万円に膨れ上がり「ギャンブルにのめり込み、消費者金融から借金を重ねた。収入が返済に追いつかず、借金が増えた」と相談を寄せた。50代の女性は100万円を借り「夫との不仲から心の病になり、ストレス解消のためブランド品の高額な買い物を繰り返した結果、返しきれない借金を抱えた」などと訴えた。
東北財務局は「早めの相談が早期解決につながる。一人で悩まずに相談してほしい」と呼びかけている。問い合わせは各県の財務事務所や東北財務局理財部金融監督第3課(022・266・5703)。【工藤哲】
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