警察内部の情報を漏えいしたとして、鹿児島県警の前生活安全部長が国家公務員法(守秘義務)違反の疑いで逮捕された事件について、警察庁の露木康浩長官は6日の定例記者会見で「極めて遺憾」と述べた。鹿児島県警では情報漏えいなど不祥事が続いており、「今後、捜査の結果を踏まえつつ、必要な監察を実施する」とした。
前生活安全部長の本田尚志(たかし)容疑者(60)=鹿児島市=は、県警を定年退職した後の3月下旬、部長在職中に入手した内部文書を第三者に郵送したとして、5月31日に県警に逮捕された。
露木長官は6日、外部に漏えいした情報は、ストーカー規制法違反事件の被害女性の氏名などのほか、県警の他の部長の氏名、住所、電話番号などだったと明らかにした。
本田容疑者は5日に鹿児島簡裁であった勾留理由開示手続きの意見陳述で外部への情報提供を認めた。理由として「県警職員の犯罪行為を野川明輝(あきてる)本部長が隠蔽(いんぺい)しようとし、いち警察官としてどうしても許せなかった」と述べた。
本田容疑者の意見陳述によると、2023年12月中旬に起きた枕崎署員のトイレでの盗撮事件について、野川本部長は「最後のチャンスをやろう」「泳がせよう」と言い、事件を本部長が指揮する際の押印をしなかったという。
県警で不祥事が相次いでいた時期で「本部長としては、新たな不祥事が出ることを恐れたのだと思う」とした。
また本田容疑者は、別の警察官が住民から提供された情報をまとめた巡回連絡簿を悪用して犯罪行為をしたとも述べた。
本田容疑者が情報提供したのは「ある記者」で、不祥事をまとめた文書を送った。理由は「不祥事を明らかにしてもらえると思った」とした。
枕崎署員は5月に逮捕された。本田容疑者の意見陳述について露木長官は「県警で逮捕するなど必要な対応が取られていたと報告を受けている。容疑者の主張については捜査の中で必要な確認が行われていく」と述べた。
本田容疑者の代理人弁護士によると、勾留取り消し請求は、鹿児島簡裁に5日付で却下された。6日付で準抗告する。
県警では、3月に捜査状況などをまとめた資料を漏えいしたとして元巡査長が地方公務員法違反容疑で逮捕されるなど、不祥事が続いている。【山崎征克、取違剛】
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