北海道別海町の野付半島沖で今年4月、ホタテ漁船のけた網にかかって引き上げられ、町郷土資料館に寄贈された化石が、滋賀県立琵琶湖博物館(草津市)の高橋啓一名誉館長(古脊椎(せきつい)動物学)の鑑定でマンモスゾウの臼歯と判明した。資料館が発表した。野付半島沖で見つかったのは2003年以来の4例目。国内で15例目の発見となる。
化石は長さ12センチで、水深約20メートル付近から引き上げられた。含有する炭素の安定同位体からこのマンモスが生息した年代を測定中で、7月下旬に判明する見込み。
オンラインで記者会見した高橋名誉館長は「死んだ後に川で流されて堆積(たいせき)した化石が、潮流で掘り起こされたとみられる」とコメントした。また、野付沖での発見が続く点については「マンモスの化石がたまるような地層があるとみられる」との見解を述べた。
一方、町郷土資料館の石渡(いしわた)一人副館長は「漁業者が(インターネット検索サイトの)グーグルで形を調べ、届け出てくれた。極めて今日的な発見」と漁業者の「意識の高さ」を評価した。資料館で5日から一般公開し、複製品の製作も行う。
マンモスゾウは75万年前~4000年前にユーラシア大陸北部から北米北部に生息。南限の一つである北海道に生息していたのは最終氷期で最も寒かったといわれる4万5000年~2万年前といわれる。当時の平均気温は現在より7度以上低く、海水面が120~140メートル後退していたとみられる。日本海は巨大な湖で、サハリンと北海道は陸続きで野付半島沖も国後島とつながっていた。【本間浩昭】
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