2016年4月の熊本地震で、2度目の最大震度7を観測した「本震」から16日で8年となった。熊本県南阿蘇村では、本震による土砂崩れに巻き込まれた同県阿蘇市の大学生、大和晃(ひかる)さん(当時22歳)の父卓也さん(65)と母忍さん(56)が、発生時刻の午前1時25分に現場近くの祭壇で手を合わせた。
2人は毎年、本震の発生時刻に合わせて現場を訪れている。卓也さんは「ほんの数秒でも通る時間が違っていたら家に帰れたと思うと残念でしかたない。8年はあっという間だった」。忍さんは「生きていれば今年で30歳。どんな大人になっていたのかなと思うけど、22歳の晃しか思い浮かばない」と涙を拭った。
晃さんは2日前の「前震」で被災した熊本市内の友人に水などを届けて自宅に帰る途中、本震で崩落した旧阿蘇大橋の近くを車で走っていた。両親は県警などの捜索打ち切り後もボランティアらと捜し続け、約4カ月後に橋の下流約400メートルの川岸で車の中から晃さんの遺体を見つけた。
一方、地震で損壊し23年12月に楼門の再建工事が完了した阿蘇神社(阿蘇市)では、午前10時に市職員や市民ら約40人が黙とうをささげた。市内では本震で震度6弱を観測し、災害関連死で20人が亡くなった。【野呂賢治、中村敦茂】
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