出発前の儀式に十二ひとえ姿で登場した斎王役の三田空来さん(中央)=三重県明和町斎宮で2024年6月1日、下村恵美撮影

 天皇に代わって伊勢神宮に仕えた皇女「斎王」の行列を再現する「斎王まつり」が1日、三重県明和町斎宮であった。炎天下にもかかわらず、沿道には平安絵巻を一目見ようと多くの人が訪れた。

 斎王役は伊勢市出身の東京大2年、三田空来(さんだそら)さん(20)。あでやかな十二ひとえ姿を披露し、「葱華輦(そうかれん)」と呼ばれる輿(こし)の上から観衆に笑顔で応えていた。

 群行は8年ぶりに旧伊勢街道を進むコースが設定され、近鉄斎宮駅近くを発着点とする約1キロを1時間ほどかけて進んだ。斎王の住まいがあったと言われる「竹神社」前では群行が立ち止まり、斎王から受け取った玉串を子役が奉納した。

 出発式があった斎王の森には町内に住む三田さんの父方の祖父母の姿があった。三田さんが斎王役に応募したのは祖父母に連れられ、小学生の頃に斎王を見たのがきっかけ。この日は「祖父母への恩返し」の舞台だ。

 祖父の三田正之さん(82)は「今日は楽しみにしていた」と話し、孫の十二ひとえ姿をカメラで撮影。祖母の洋子さん(82)も「すごく似合っていて、きれい」と晴れ姿に目を細めていた。

 群行は夜にも行われ、飲食や物販のブースが並んだ会場周辺は一日中にぎわっていた。【下村恵美】

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