名古屋芸術大(愛知県北名古屋市)の来住尚彦学長(63)からセクハラを受けたと複数の女子学生が訴えている問題を題材にしたアート展覧会が、同大西キャンパスで5月31日から始まった。同大で現代アートを学ぶ学生らが企画したもので、大学側の対応への疑問や不満を芸術作品として表現している。
来住学長のセクハラ疑惑を巡っては、大学側は調査委員会の報告を受けて3月末、ホームページに「処分すべきハラスメントが行われたとは認定できない」との結論を公表した。ただ、調査委は報告書で学生に対する一部行為を「セクハラに該当し得る」「不適切」などと指摘していたことが毎日新聞の取材で判明している。
大学側はこうした具体的な調査結果や判断理由を明らかにしておらず、説明を求める女子学生の申し出にも応じていない。
大学側の対応に疑問を抱き立ち上がったのが、被害を訴える女子学生とは別のキャンパスで学ぶ学生らだ。感じた疑問や不満をアート作品で表現することを思いついた。学生の一人は「僕らのキャンパスでは問題自体知らない人も多い。被害学生に説明すらしていない大学の対応を他の学生にも知ってほしい」と話す。
「ソウドウトリスペクト」と題した展覧会は、社会で起きた「騒動」を題材とするが、全7作品のうち5作品は学長のセクハラ問題を取り上げ、映像とインスタレーション(空間芸術)で表現した。
二つのモニターを使った映像作品「両者の意見」では、インタビューに答える女子学生の映像に対し、沈黙を貫く学長の様子を真っ黒で無音のモニターで表現。学長にもインタビューを申し込んだが断られたため、モニターには学長宛てに出した質問書が貼られている。
学長をイメージした人物画と共に「AWFUL TRUTH(恐るべき真実)」と描かれたスプレーアート作品も展示されている。
出展した学生は「このまま終わらせてはいけない。展覧会を通じ、多くの学生にこの問題について真剣に考えてほしい」と話している。
展覧会は入場無料で誰でも観覧可能。6月5日まで(日曜日を除く)、午後0時15分~午後6時(最終日は午後4時)。【川瀬慎一朗】
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