天候不良のため31日、少なくとも発着する46便に目的地変更や遅延などが相次いだ那覇空港。特に米軍嘉手納基地に向かった乗客らは、最大8時間ほど機内での待機を余儀なくされ、疲労感を漂わせた。基地内で米軍と航空会社の調整に時間がかかったことから「他の空港ならここまでは待たなかったのでは」との声も漏れた。(社会部・豊島鉄博、知念祥吾)

 嘉手納基地に駐機した民間3便は、午後6時半ごろから8時過ぎにかけて、それぞれ那覇に着き、乗客は一様に疲れた表情で到着ロビーに現れた。

 「もうすぐ給油の作業員が来ます」。広島市の会社員三浦昇平さん(33)によると、午後1時前から搭乗員の説明を受けたが、なかなか作業が始まらず、機内にはいら立った雰囲気が広がっていた。

 さらには、搭乗員から「機内でたばこを吸っていた形跡があるので絶対にやめてください」との注意もあった。「基地内でなく、通常の空港ならもっと早めに着けたはず。これが沖縄か、と思いました」

 東京都のコンサルタント牛込怜子さん(40)も「基地内では、ここまで給油に時間がかかることを知らなかった。窮屈でつらかった」と振り返った。

 乗客を迎えるために9時間ほど、到着口で待ち続けた人もいた。

 県内の社団法人の女性(64)は、1日に開かれる同法人の講演会に招いた、都内在住の医師を出迎えようと、午前11時には空港に着いた。だが、いつになっても到着する気配がなく、予定していた昼食会もキャンセルした。

 女性は「搭乗客向けに基地からシャトルバスを出すなど、柔軟な対応をしてほしかった」と困惑。午後8時過ぎに姿を見せた医師の男性(89)は「参りました、今日は」と苦笑しながら空港を後にした。

 日中の空港のチェックインカウンターには、運航再開を待つ観光客や修学旅行生らで長蛇の列ができていた。神奈川県の岩田弘教さん(60)は「夜の便に切り替えられたが、向こうに着いても電車がないかも。無事に帰宅できるか心配」と困っていた。

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