2019年10月に火災で焼失し再建中の首里城で27日、正殿の屋根や骨組みが完成したことを祝う「工匠式」が行われた。工事が半分まで進んだ一つの区切りとなり、作業を終えた宮大工たちが伝統的な衣装に身を包み、今後の工事の安全を祈願した。

 式には宮大工や関係者ら約80人が参加し、棟木を屋根に引き上げる儀式を行った。正殿の末永い安泰を願う「槌打(つちうち)の儀」では宮大工が屋根の上に登り、仕切り役のかけ声に合わせて槌で棟木を2回たたき納めた。

 文化財建造物の復元などを事業とする社寺建(しゃじけん)(福井県越前市)の会長で、宮大工の総棟梁(とうりょう)を務める山本信幸さんは「一人でも欠けていたらここまでこられなかった。平成の首里城を超える復元を遂げたい」と意気込んだ。清水建設の奥村耕治工事長は「工事完了まであと2年半ある。いま一度気を引き締めて次に進みたい」と話した。

 正殿の再建は22年に始まった。今後は瓦ぶきや漆の塗装工事に入り、26年秋に完成する予定。(社会部・末吉未空)

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