東京大学=東京都文京区で2021年6月15日、武市公孝撮影

 東京大は27日、大学院総合文化研究科の中沢公孝教授の研究室が国の科学研究費助成事業(科研費)などの公的研究費計192万5940円を、研究目的外の謝礼などに不正使用していたと発表した。調査の結果、中沢教授と元事務補佐2人の3人が不正に関わったが「研究費の私的流用があったとは認められない」とした。

 中沢教授は障害者や高齢者、アスリートのリハビリやトレーニングを専門としている。東大広報室によると、2022年7月に不正の疑いに関する匿名通報を文部科学省経由で受理し、調査委員会が調べたところ、研究とは関係のない大学院生の授業補助への対価▽本来対象となる研究以外の学会参加の旅費立て替え▽研究謝金からの事務補佐への残業相当額の支払い――などが判明。さらに自家用車やレンタカーを使用した出張について、実際の交通手段と異なる旅費の支出もあったという。

 不正支出のうち、科研費が92万4600円、科学技術振興機構(JST)委託事業が81万6370円と大半を占めた。事務補佐2人は既に退職している。

 広報室は「教授は学内手続きに対する認識が不十分で、(支出について)漫然と事務補佐に任せきりとなっていた。事務補佐も研究費のルールの理解が不十分だった」と説明。今後、注意喚起などで再発防止を徹底するという。【西本紗保美】

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