今年から5月開催になった福島県沿岸部・相馬地方の伝統行事「相馬野馬追(のまおい)」が25日、3日間の日程で開幕した。明治時代に新暦となって以降150年近く7月に開催していたが、近年の猛暑を避けるため、5月の最終土~月曜になった。
野馬追は1000年あまりの歴史があるとされ、甲冑(かっちゅう)姿の騎馬武者が打ち上げられた旗を奪い合うなど、勇壮さが魅力。7月下旬だった昨年は観測史上初めて3日連続で34度を超え、馬2頭が日射病などで死に、出場者や観客の熱中症も相次いだ。地元関係者が日程変更を決め、国の重要無形民俗文化財の指定も維持された。
相馬市の相馬中村神社であった出陣式では、南相馬市長の門馬和夫執行委員長が「初夏の風のもと繰り広げられる戦国絵巻として定着を図りたい」とあいさつ。南相馬市では五月晴れの新緑を背に、田植えから間もない早苗が揺れる水田地帯を騎馬行列が進んだ。
この日の相馬市の最高気温は22・3度。南相馬市出身で、埼玉県行田市から観光に訪れた斎藤重信さん(70)は「昨年は本当に暑かった。出場者や馬の健康を考えれば日程変更でよかったのでは」と話した。涼しい時期の開催となったため、初めて妻や娘も見物に来たという。
26日夕は、東京電力福島第1原発の立地する双葉町で14年ぶりに騎馬行列が開かれる。同町は原発事故に伴う避難指示が最も長引き、2022年8月に町内の一部で居住可能になった。居住者は100人強にとどまり、騎馬武者も避難先などから集まる。【尾崎修二】
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