大阪市が大阪湾で2023年1月に死んだマッコウクジラの遺骸処理を海運業者に委託した随意契約を巡り、23日質疑された市議会委員会。金額が大阪港湾局の当初積算額の2倍以上になったことなどについて、市議側から「癒着や談合が疑われる事態だ」と厳しく追及する質問が相次いだ。横山英幸市長は経緯の徹底的な解明に加え、全市的な随意契約の総点検を実施する方針を表明した。
クジラは23年1月9日に大阪湾の淀川河口付近で見つかった。「淀ちゃん」と呼ばれたが、同13日に死んでいるのが確認され、同19日に作業船で紀伊水道沖に運ばれて沈められた。3月31日に契約した処理費用は8019万円だったが、3月初めの港湾局の積算は3774万円で、住民監査請求を受けた市監査委員は横山市長に契約の再調査を勧告していた。
この日の市議会建設港湾委員会で、岡崎太委員(大阪維新の会)の質問に対し、港湾局は「腐敗が進むクジラを速やかに処理するという緊急性と特殊性があった。担当の海務課が精査しており契約金額は適正と認識している」と答弁。岡崎委員は「監査結果を見ると疑念を持たざるを得ない。情報公開を進めてほしい」と求めた。
今田信行委員(公明党)は「競争性や金額が不透明になりかねない随意契約に不信感がある」と全市的な随意契約の調査を求めた。横山市長は「(今回の案件は)徹底して調査し、ただすものはただしていく。他の随意契約についても契約管財局で総点検を進めて参りたい」と答えた。
また市議会財政総務委員会で、福田武洋委員(自民党・市民クラブ)の質問に対し、港湾局はクジラが死んでいるのが確認される前に当時の松井一郎市長に処分方法の選択肢について説明していなかったことを明らかにした。福田委員は「全容解明のため、あらゆる角度から検証していただきたい」と求めた。【鈴木拓也、長沼辰哉】
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