各地で目撃が相次いでいるクマですが、今の法律では、簡単に猟銃で駆除することができません。
北海道別海町では、21日、クマに襲われたとみられる4頭の子牛の死骸が見つかりました。猟友会の小林清悟さんは、地域の牧場から依頼を受け、害獣駆除と並行して、箱罠の見回りをしています。
猟友会・小林清悟:「そこの掘りっぱなし、わかります?(クマが)掘った跡というか。(Q.1回、入った所にまた来る)します」
北海道全体で、クマの目撃数は急増していて、SNSには、日々、目撃情報があがっています。
4月下旬に、根室市でクマに襲われた車。フロントガラスにはひびが入っています。
修理を請け負った田村富勝さん:「うちらはシカの事故が多いでしょ。クマは初めてだね。バンパーバーっていう避けるものがついていて、その丈夫なやつも、べったりだった、潰れて」
根室市では、23日もクマの目撃情報が出ています。それも市街地です。
根室市でのクマの目撃件数は、4月以降、すでに32件。去年の同じ時期は8件だったので、4倍に増えています。
先月クマを目撃した市民:「(根室市に)40年くらいいるけど、初めて見ました。怖いですね。歩くのも怖い。カサっていうだけで、後ろを振り向いたりしちゃいます」
23日、環境省では、市街地でのクマへの銃使用規制に関する検討会が開かれました。
いまの法律では、原則として、警察の指示なく、銃を使用したクマの捕獲は禁じられているため、改正を求める声が上がっています。
牧場に侵入し、牧草を食べてしまうシカは、害獣として駆除対象になります。
北海道猟友会別海支部・小林清悟さん:「(Q.シカは撃てるがクマは撃てない)撃てないですね。いまの時期、結局、撃てないから(見かけても)クマいたなってぐらい」
市町村ごとに害獣駆除の期間は決まっていて、別海町では、この期間、クマは駆除の対象外になっています。そのため、捕獲したクマを駆除したい場合は、役所からの依頼、または許可が必要になります。
去年、牛66頭を襲い、世間を騒がせた『OSO18』と呼ばれたクマが現れたのは、隣町です。OSO18は、すでに駆除されましたが、牛を襲うクマが、再び、現れたことになります。
北海道猟友会別海支部・小林清悟さん:「クマ自体が増えているから、牛をクマが襲うのは当たり前。実際にクマをどう駆除していくかという考え方をしないと。そこが一番の問題」
さらに、今回は、放牧された牛を襲ったOSO18のときと違い、直接、牛舎に忍び込んでいます。
この町で、今月に入ってのクマの目撃情報は10回。なかでも、今回のようなクマの出現は、酪農家にとって死活問題です。
酪農家・塩田裕介さん:「畑を歩いたりすると、クマのフンが普通にある。(クマが)いるにはいるんだろうなという意識はある。うちが、いつやられてもおかしくはないと思う。換気をよくしないと、牛も体調を崩したりする。真冬は牛舎を閉め切ることができるが、これから夏になって、閉め切ることは物理的に難しい。施設を閉め切るわけにはいかないので、やっぱり、どうしようもないのかな」
◆クマなどの駆除について、『鳥獣保護管理法』では、以下のような場所での猟銃の使用を“原則”禁止しています。
住宅が集合している地域、広場、駅など多くの人が集まるような場所、建物や電車、車などに向けて銃を撃つことも原則禁止されています。もし、こうした市街地にクマが出没した場合、警察官が緊急性を判断して命じれば、猟銃を使うことは可能です。ただ、それは「人の生命・身体への具体的な危険が生じている」という、今まさにクマが人を襲っているといった状況などに厳しく制限されています。
例えば、クマが小学校の校庭にとどまっていたとしても、現状の規定では、猟銃を使うことは禁止。また、現場にハンターしかいない場合や、捜索が広範囲に及び、警察官がすべてに同行できないケースもあるということです。こうしたことから、法改正に向けた環境省の検討会では、出席者から「ハンターの判断を一定程度、尊重する方向で、要件の緩和を模索すべき」といった意見も出されていました。
環境省の担当者も「人命にかかわることであり、早急に対応しなければならない」と話していて、23日の検討会では、市街地での銃による捕獲について、クマによる人身被害の恐れが生じている状況では、警察官がいない場合でも「緊急的・特例的に実施可能とする」など、規制を緩和する方向性をおおむね了承しました。
検討会は、7月上旬に正式な対応方針を取りまとめる予定で、その後、法改正が進められる見通しです。
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