阪神高速は6月1日、利用料金を改定する。長距離を走る利用者は値上げとなり、同時に迂回(うかい)割引や深夜割引なども導入する。7年ぶりとなる改定には、料金体系の整理と都心部の混雑解消という阪高が抱える長年の課題を一気に解決しようとする狙いがある。
阪高によると、料金改定は2017年6月以来。現在は自動料金収受システム(ETC)を利用する場合、走行距離が32・3キロ以上の普通車は一律で上限1320円だったが、6月からは距離に応じて段階的に料金が上がり、51・7キロを超えると一律で1950円となる。上限料金の変更は7年前の改定時に決まっていたが、ETCの利用促進や物流への影響などを考慮し、激変緩和措置として据え置かれていた。
このタイミングでの値上げについて、阪高担当者は「17年の移行から一定の期間が経過したことや対距離制を基本とした公平な料金体系を進めるため」と説明する。ETCの利用率がこの7年で、約93%から約97%まで上昇したことも踏まえたという。阪高は値上げが適用されるのは全体利用者の1割程度と見込んでいる。
一方、新たに導入されるのが迂回割引などだ。現在は京都や奈良方面と大阪南部方面を往来するには、大阪市中心部を通過するのが最短で料金も安いが、6月からは、大和川線や近畿自動車道などを経由するルートでも同じ起終点なら最安料金が適用されるようになる。これによって数百円程度が割引されるという。同様に神戸市中心部を避けて中国自動車道などを利用しても最安料金となる。深夜割引は午前0時から4時までに高速道路に入れば、料金が20%割引される。
割引が導入された背景には、新型コロナウイルス禍で一時緩和していた都心部の渋滞問題が再び悪化してきた事情がある。
阪高の交通量は1日約70万台で、コロナ禍前の19年とほぼ同じ水準まで戻った。特に神戸方面の混雑は慢性的で、国土交通省による都市高速の渋滞ランキング(19年)では、神戸線下り(西宮ジャンクション―第2神明道路接続部)が全国ワーストの状況になっている。阪高担当者は「便利な割引を活用してもらうことで分散が進んでほしい」と言う。
併せて2024年問題などでコスト増に悩む物流業界への支援策として、大口・多頻度の利用者の割引を現行の最大35%から最大45%に引き上げる。
料金改定の詳細は阪高の特設ダイヤル(0120・23・4359)やホームページ(https://www.hanshin-exp.co.jp/drivers/ryoukin/shinryoukin2024/)で。【野原寛史】
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