さいたま市役所=山寺香撮影

 ひとり親家庭の貧困に対応しようと、さいたま市が今年度、離婚相手が支払わない養育費を市が立て替える事業をスタートさせた。子ども1人当たり月額上限5万円(最大3カ月)を立て替えた上で離婚相手から回収する。市などによると、欧米では行政が立て替えや回収をするケースがあるが、国内では珍しいという。

 ひとり親家庭の経済的、心理的負担の軽減が目的で、児童扶養手当を受給するなど経済的に困窮する家庭が対象。離婚相手との間で公正証書や調停調書により養育費が決まっていることも条件とする。今年度は20人の利用を見込み、当初予算に300万円を計上した。

 国の調査によると、所得が標準的な額より大幅に低い世帯の割合を示す相対的貧困率は、母子家庭が大半を占めるひとり親家庭で2021年44・5%に上る。国の別の調査では、母子家庭のうち養育費を受け取っているのは21年度28・1%にとどまり、離婚相手と支払いの取り決めをしていない家庭が半数以上あった。

 こうした状況を踏まえ、兵庫県明石市は先行して立て替え事業を実施している。国も養育費不払いの無料相談などを実施する自治体への補助制度を19年度から始めており、22年度は176自治体が活用した。

 さいたま市の事業への問い合わせは、市子育て支援課(048・829・1948)。【鷲頭彰子】

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