沖縄タイムス真玉橋販売店(豊見城市真玉橋)店主の西玉得(にしたまえ)哲治さん(68)が今月、自宅アパートの室内で倒れていた1人暮らしの70代男性の命を救った。異変に気付いたきっかけは、日頃配達している新聞だった。(社会部・豊島鉄博)

 西玉得さんは2日未明に配達していた際、70代男性の部屋のドアポストに、4月30日と5月1日付の本紙があるのを発見した。

 長年の配達で男性とは交流がある。「普段なら、毎日受け取ってもらっているのに」と不審に思った。いつもは夜勤で使われているはずの男性の車が、駐車場に止まったままだったことにも気付いた。

 「何かあったのではないか」。配達後の午前8時ごろ、日課のごみ出しは妻に任せ、真玉橋自治会の金城和史会長(65)に急いで電話した。金城会長は、男性の住むアパートの大家でもある。金城会長の娘を通じて部屋の鍵を借り、ドアを開けると、男性が畳間の押し入れ近くであおむけに倒れていた。

 「大丈夫ですか」。声をかけたが、男性は「うー」とうめき声を上げ、意識がもうろうとしている状態だった。西玉得さんはすぐに救急車を呼んだ。

 後日男性の家族から、脳梗塞を起こしていたと聞いた。今では意識は回復し、会話もできる状態で、懸命にリハビリに励んでいるという。

 西玉得さんは14年前に真玉橋地域へ移り住み、販売店主になって13年になる。「新聞を取ってもらっている以上は当然の行動。日々相手のことを考えながら、地域密着で取り組んできた」と語る。

 金城会長も「地域の方の安全に貢献してくれ、ありがたい」と感謝する。2人とも男性が退院し、再会できる日を心待ちにしている。

(写図説明)アパートの室内で倒れていた男性を発見した沖縄タイムス真玉橋販売店の西玉得哲治さん(右)と、真玉橋自治会の金城和史会長=15日、豊見城市

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