年々増える金の密輸。その背景には金の価格の高騰があり、ここ4年で約2倍になっています。なぜ金の価格が上がっているのでしょうか。

 5月13日、大阪税関で報道向けに公開されたのは、ずらりと並んだ100枚の金の延べ板。すべて、2020~2023年にかけて海外から不正に密輸入され、大阪税関が押収した金です。

 アクセサリーなどの形で海外から持ち込まれた金を全て金の延べ板にしたものですが、計100kg分、時価総額は約13億円にのぼります。背景には、最近の金価格の高騰があるといいます。

 いったいどれくらい高騰しているのか?5月12日、金製品の売買を手がけている「GINZA TANAKA 心斎橋店」を山中真アナウンサーが取材。今、資産用として問い合わせが多い、インゴットと呼ばれる金塊を、高橋慎也店長に見せてもらいました。

 (高橋店長)「一番小さいもので5gから大きいもので1kg、全部で9種類ございます」
 (山中アナ)「一番小さい5gで、今でいうとおいくらぐらいになりますか?」
 (高橋店長)「6~7万円ぐらいですね」
 (山中アナ)「1kgの価格は?」
 (高橋店長)「1300万円くらいですね」

 実際に手に持たせてもらうと…

 (山中アナ)「重いっ!1kgですか、ほんとに?」
 (高橋店長)「1kgです」
 (山中アナ)「僕らがこうダンベルとかで持つ1kgは、こんなに重くないですよね」
 (高橋店長)「想像してる重さよりは、かなりずっしりとした感覚がある。これが金の特徴ではありますね」
 (山中アナ)「すごい重量感。この投資用・資産用の金の動きは?」
 (高橋店長)「今年に入ってから、3月・4月あたりは最高値を更新しつづけているという状況の中で、昔であれば『価格があがれば売却』という方がほとんどという状況だったんですけれども、今の特徴としては購入の方のほうが多いと」

 高騰の要因の1つとして、安定資産や投資目的としての需要の高まりがあるといいます。

 (高橋店長)「ウクライナの件もありますし、イスラエルや中東、世界的な情勢が不安定になっているなかで、安定資産として、資産を守るという意味で金を買われるという方が非常に多くなってます。(また)これからまだ(金の価格が)上がるのではないかと見越している方も非常に多くいらっしゃいます」

 実用性を兼ねたネックレスなど金のアクセサリーは、世代に関係なく人気があります。売れ筋の1つ、18金300gのネックレスの5月12日の値段は…

 (高橋店長)「653万4000円(※取材時の価格)です」
 (山中アナ)「車…外国車1台分くらい首にかけるってことですね…」

 金需要の高まりは日本だけではありません。

 (記者リポート 今年2月)「こちら、北京市内の宝飾店です。広いフロアなのですが、金を買いに来た人ですごい賑わいです」

 中国でも、年配の人だけでなく、若者の間でも人気が高まっています。去年、金の宝飾品の売上高は、日本円で約6兆円と過去最高を記録しました。

 (金の宝飾品の購入者)「子どもや妻に何か買ってあげるなら、普通は金を選びますね」

 中国のSNSでは、結婚式で新婦が数えきれないほどの金の装飾品を身に着けているものや、赤ちゃんが親戚からの送りもので金ぴかになっている様子が。また、若者に人気という「(金豆)ゴールドビーンズ」と呼ばれる小さな金の粒の動画など、金に関する話題で溢れています。

 世界的な金の需要の高まりについて、専門家は…

 (金融貴金属アナリスト 亀井幸一郎氏)「(今)金、ゴールドは買いなんです。円安ベースで考えると『こんな高いときに』と思われるかもしれませんけど、(需要も価格も)上がると思いますね」

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