価格の高騰が続く「コーヒー豆」。背景には、中国で起きているある果物のブームがあるようです。

■コーヒー高騰 背景に“悪魔の果実”中国でドリアン大流行

日比麻音子キャスター:
コーヒー豆の価格が高騰しています。

2024年3月、セブン―イレブンのセブンカフェのコーヒーが110円→120円(レギュラーサイズ ホット・アイス)に値上げとなりました。
UCC上島珈琲では7月出荷分の家庭用レギュラーコーヒー(一部商品を除く)や9月出荷分の大型ペットボトル飲料の店頭価格が20~30%上がるということです。

この要因となっているのは、例えばブラジルでの異常気象であったり、歴史的円安などが考えられますが、ベトナムではこういった動きがあるそうです。

楽天証券経済研究所 吉田哲さんによると「コーヒー畑を潰してドリアンへの転作が進んでいるためコーヒーの生産量が減っている」ということです。

中国メディアによると、2022年の中国のドリアンの輸入量は80万トンを超えていて、なんと世界の需要91%、つまりほとんど全てのドリアンが中国に集まっているということです。

東京大学准教授 斎藤幸平さん:
私は食べたことないですけどね…

日比麻音子キャスター:
なかなかね。私もないですが、南波は?

南波雅俊キャスター:
食べたことはないですけど、香りを嗅いだことあります。かなり強烈な香りがしますね。

日比キャスター:
これだけの量が中国では需要があるということです。
健康面からみて栄養価も高いですし、インターネット販売で手に入りやすくなったという背景もあるようですが、そのまま食べるだけではなく、実はピザにしてみたり火鍋に入れてみたり、こんな食べ方があるそうです。

東京大学准教授 斎藤幸平さん:
チーズみたいって言うから、ドリアンピザは美味しいかもしれないですね。

日比キャスター:
吉田さんによると「中国のドリアン人気は一過性かも…。ただ、農家が転作してコーヒー豆の生産量が減少しているので、長期的にはまだまだ価格は上がりうる」ということです。

コーヒー豆の価格が上がっていることについて、いかがでしょうか?

東京大学准教授 斎藤幸平さん:
ベトナムの方からすると、安いコーヒー豆を作るより高く売れるドリアンに転作するのはわかりますが、もう一つ大きな原因として、エルニーニョによるブラジルなどでの気候変動の影響が出てきていて、それがコーヒー豆の生産量をかなり下げているということですよね。

2050年問題と言われていますが、2050年にはコーヒーの生産量が半分になると言われていて、そうなってくると私達が毎朝飲んで、昼にも飲んでみたいな飲み方が当たり前ではなくなってくる可能性がありますよね。

日比キャスター:
こういった転作はベトナムだけではなく、他の地域でも考えうることだということですよね。

斎藤さん:
同じようなものでいうとオレンジも高くなっていますが、それ以外にもオリーブなど、やはり干ばつの影響は世界的に出ていて、カカオやチョコレートなど、今まで当たり前だったものが作れなくなってくる時代が、もしかするとすぐにやってきてしまうかもしれないですね。

南波キャスター:
ドリアンもコーヒー豆に比べると利益が2倍ぐらい違うということですから、転作になっていくのもわかる気がしますが、そうなってくると一過性であるとそこの転作農家がどうなっていくのか、長期的な問題が発生してきそうですよね。

日比キャスター:
決して遠くない未来の話になっていきそうですよね。

■この先“高級品”に?中国では「独自ラテ」話題に

2023年12月、世界のコーヒーチェーン店の店舗数は中国が1位となりました。(米CNNによると)

1位 中国 4万9691店舗
2位 アメリカ

そんな中、こんなカフェも出てきているようです。

何に入ってるかといいますと…ピーマンです。
上海のコーヒーショップで、2023年12月頃から提供されていて中身はエスプレッソラテアートということです。

斎藤さん:
ピーマンと一緒に食べる?何でこうしたんだろうね?

日比キャスター:
ただ、映像としては映える、話題性があるということなんですかね。
一応かじって食べるというケースもあるようですが…

斎藤さん:
エコですもんね。

日比キャスター:
Nスタでも紹介しましたが「豚の角煮ラテ」。これはスターバックスから出されたもので様々なコーヒーの人気も高まっているという状況ですが…

吉田さんは「コーヒー豆には長期的な異常気象、中国をはじめ『嗜好品』をのぞむ人が世界的に増加していて、この2点からコーヒー豆の価格は下がりにくい状況が続くと予想される」としています。

日本でもコーヒー豆を生産しようとしている民間の団体の方が出てきたりしていますから、環境の変化にどう適用していくか、というのはこれからも本当に課題になりそうですね。

斎藤さん:
品種改良であるとか、日本で新しくやっていくとか試みは今後出てくると思います。しかし、今年の気温を見ても、そういう対応ができないようなスピードで気候変動自体が進んでいってしまうということになれば、私達が今、気軽に飲んでいる朝のコーヒーも手が届かなくなると考えると、悲しいですけれども。

南波キャスター:
気軽なものだというイメージだからこそ、販売価格に転嫁できないカフェの倒産も今、国内増えているということですから、このあたりも一つ問題になってきそうですよね。

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