物価の優等生と言われる『もやし』が値上げをしてもピンチ…生産者の本音を聞きました。
またか…とため息が出てしまいますが、帝国データバンクによりますと、今年5月の食品の値上げは417品目に上っています。全体の6割を占めるのが「酒や飲料類」で253品目。またオリーブオイルなどの「原材料」では値上げ率が50%を超える商品もあります。
そんな中、ここ数年じわりじわりと値段が上がっているのが、もやしです。総務省の家計調査でも、もやしの小売価格は2年前に比べて1割・1袋3円ほど値上がりしています。
業界の現状を、大手もやし生産会社会長で、もやし生産者協会の理事長も務める林正二さんに聞きました。
(もやし生産者協会 林正二理事長)「50年ぐらい前は日本に約1000社のもやし生産者がいましたが、現時点では約100社ですね。このままではもう、もやし生産者がみんな廃業していってしまいます」
業界大手の林さんの会社の工場では、1日35トン、約18万パックのもやしを製造しています。原料となる緑豆を発芽させ、タンクで寝かせると、わずか10日で出荷できるまでに成長します。
(もやし工場スタッフ)「こちらが出荷間際のもやしです。原料が100kg。それが約10日で10倍の1トンになります。それで素晴らしいもやしができます」
もやしは年中栽培できて天候にも左右されないことから、長年安定した価格で優等生ぶりを発揮してきました。しかし、原料の緑豆の高騰や、燃料費などの値上がりなどがあり、2年前には業界の窮状を訴える新聞広告を掲載。この広告の反響もあって、取引先との価格交渉が進み、ついに1袋3円程度の値上げにつながりました。
ところが…
(もやし生産者協会 林正二理事長)「価格は少しずつ上がったんですけれども、売れ行きが下がっているんです。(Q価格を3円下げて元に戻すと赤字?)当然赤字ですね。もやし以外にもいろいろな商品を作っていますが、もやし部門ではずっと赤字が続いています」
せっかく値上げに成功しても、消費量が落ちてしまうという現状。そして販売するスーパー側も苦しい状態に。
(フレッシュマーケットアオイ 内田寿仁社長)「もやしは利益がほとんどないと言ってもいいくらいの商品ですね。値上がり分の3円については、利益を削って、価格を据え置いて販売しています」
もやし生産者の林さんは、消費者にこうした現状を知ってもらい、少しずつもやしの適正価格に近づけていきたいと話します。
(もやし生産者協会 林正二理事長)「(Qあと何円値上げすれば適正価格?)販売価格で5~10円でしょうか。買い控えするのではなくて、『これでも安いよね』という思いで、引き続きたくさんもやしを買っていただくということが、我々にとっては一番ありがたいことです」
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