大手総合商社5社の昨年度の決算が出揃い、円安による利益の押し上げなどで各社ともに好調な業績となりました。一方、トップからは急速に円安が進んでいることについて懸念の声も相次ぎました。
大手商社が発表した昨年度1年間の決算によりますと、▼「伊藤忠商事」の最終的な利益は前の年度と比べて0.2%増え8017億円と、過去2番目に高い水準となりました。自動車の輸出販売などが好調だったことに加え、円安が進んだことで利益がおよそ300億円押し上げられたということです。
このほか、▼「三井物産」の最終的な利益は1兆636億円と、2年連続で1兆円を超えたほか、▼「三菱商事」は9640億円、▼「丸紅」は4714億円といずれも過去2番目に高い水準となっていて、円安が追い風となっています。さらに▼「住友商事」もこれまでで3番目に高い水準となる3863億円となりました。
ただ、決算会見では、急速に進む円安についてトップからは懸念の声も相次ぎました。
三菱商事 中西勝也 社長
「やはり円というのは国力を表すので、円安が進むということは国力が弱くなるっていうふうな側面もある。さらに我々が海外でM&A(買収)をするとき、やはりこの円安というのは非常にボディーブローとして効く」
丸紅 柿木真澄 社長
「これが行き過ぎると、とんでもないことになるんじゃないかなということで、あまり行き過ぎた円安は歓迎できない。そもそも為替っていうのは国力を体現しているものでもあり、やはりこれだけ円安が進むということはですね、日本の体力が落ちてきている」
三井物産 堀健一 社長
「別に円安を望むことでは全くなくて、為替というのは、やはり安定している方が経営はしやすい。それから我が国にとっても円安というのは、いろんな意味でグローバルのコストが上がっていく」
大手商社の収益を押し上げている記録的な円安ですが、手放しで歓迎するトップはいませんでした。
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