海外で記録的なオレンジの不作が続き、世界的な品薄状態となっています。今後、「オレンジジュース」は高級品に?
この緊急事態に国産みかんを活用する動きも出ています。
■記録的な不作で「オレンジジュース」販売休止相次ぐ
井上貴博キャスター:
これまでは海外から輸入した方が安上がりでしたが、ここまで円安と人件費が高騰すると逆転現象が起きてしまい、物がなかなか入ってこない状況です。
なぜ、オレンジジュースが不足しているのか。
▼原産国のブラジルやアメリカでは天候不良などで記録的な不作
▼世界中でオレンジの“争奪戦”が起き、価格高騰
▼日本の“円安”の影響で、安定的な確保が困難に
オレンジ果汁の輸入単価をみると2021年は267円でしたが、2023年に491円と倍以上に値上がりをしています。
こうした状況から、▼雪印メグミルク「Doleオレンジ100%」(1000ml・450ml)を2023年4月から販売休止、▼アサヒ飲料「バイオリース オレンジ」(ペットボトル1.5L)を2023年12月から販売休止となりました。また、▼森永乳業「サンキスト100%オレンジ」は2024年6月頃(見込み)から原料がなくなり次第販売休止となります。
■オレンジジュース不足で影響は?
他にはロイヤルホストを運営するロイヤルHDでは、現在はドリンクバーにてオレンジジュースを提供中ですが、担当者は「今後、輸入価格の関係で影響が出る可能性も。まだ仕入れ先から連絡はきていない」と話しています。
既に影響が出ているのが、「学童保育のおやつ」です。横浜市にある学童保育「フューチャーテーブル」に取材すると、子供たちに人気のオレンジジュースのゼリーがすでに提供できない状況なんだそう。園の栄養士は「オレンジでビタミンをとってもらいたいが、価格が上がっているので、最近は出せていない」という悲鳴も聞こえてきました。
今後、どうなっていくのか。日本果汁協会の川村和彦専務理事は「オレンジ果汁はブラジルからの輸入に依存しているので、価格が安定しない限り、このまま高級品になってしまう可能性も」と話しています。
価格安定するには、▼ブラジルでオレンジが大豊作になり、輸入価格が落ち着くか、▼円安の状況が円高となり、世界のオレンジ争奪戦に勝つか、なのですが、どうもこの状況を打開するのはなかなか難しそうだというのが見えてきます。
■オレンジから“国産みかん”にシフトも課題が…
では“国産みかん”はというと、立ちはだかるハードルが二つあります。
▼生産量が減少傾向
高級なみかんを作るということにシフトする生産者が多く、ジュースなどに加工する安いミカンが少ない現状
▼みかん農家も高齢化
人手不足で生産量を増やす“体力”がない
「オレンジが駄目なら、みかんがいい」ということでみかん農家が喜んでいるかというと、生産量が減少傾向にあるのでみかんにもシフトできない、というところが見えてきます。
ホラン千秋キャスター:
私達の身近な食品がいろんなピンチに面していますが、目先のピンチだけではなく長期的に考えると、様々なものが生産しづらくなっている。気候が変わってきていて、生産するものを変えなければならない、など広い目で見るとかなり大きな問題だと伝わってきます。
スポーツ心理学者(博士) 田中ウルヴェ京さん:
広い目で見ると、いかに環境の変化が生産物に影響するのか、ということをまずは自覚せざるを得ない、ということ。需要と供給のバランスは、簡単に私達がどうかできるものではないので、みかん生産者の人たちが一時大変になる可能性は当然ありますが、上手に生産者の皆さんを支援しながら、少しずつみんなが食べていければいいな、とは思います。
ホランキャスター:
これまでオレンジジュースを加工していた業者などは、「空いてしまった分は何で埋めるか」など課題があるわけですよね。
井上キャスター:
今回はオレンジジュースに焦点を絞りましたが、これまで日本は「1ドル100円ぐらいをベースに輸入で頼っていこう」としていたので、これから自給自足を考えなければいけないのか。「こういったリスクはつきまとう」ということも突きつけられますよね。
田中ウルヴェ京さん:
やはり、急激な円安・急激な円高、そういうことがインポートにはとても影響があるので、そこはもちろん考えていかなければいけないところですね。
==========
<プロフィール>
田中ウルヴェ京 さん
スポーツ心理学者(博士)
五輪メダリスト
慶應義塾大学特任准教授
アスリートの学び場「iMiA(イミア)」主宰
鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。