岡谷鋼機など地元の「名古屋銘柄」を数多く保有している(写真:T-Urasima / PIXTA)日経平均株価が34年ぶりに史上最高値を更新。新NISAもスタートするなど、資産運用には絶好のチャンスが到来している。『週刊東洋経済』4月27日-5月4日 合併号の第1特集は「1億円を目指す 資産運用大全」だ。今や資産1億円も夢ではない。『週刊東洋経済 2024年4/27・5/4合併号(1億円を目指す資産運用大全)[雑誌]』(東洋経済新報社)書影をクリックするとAmazonのサイトにジャンプします。定期購読の申し込みはこちら

大学生の頃に資金50万円で資産運用を始め、27年で億り人となった兼業投資家の「名古屋の長期投資家」氏。資産1億円までの道のりや、投資ビギナーが心がけるべきことを聞いた。

 

──資産運用を始めた理由は。

任天堂株で儲けて資産が数億円になり、会社を辞めた人が身近にいた。今で言う「FIRE(経済的自立・早期退職)」だ。当時は中学生だった私も、働かなくて済むほどのお金が早く欲しくなった。

そして20歳になったばかりの1995年末に証券口座を開き、アルバイトで貯めた50万円で株式投資を始めた。最初に買ったのは、証券会社のポスターに載っていた富士通や東芝などだ。

リーマンショックで資産半減

──その後どうやって1億円に?

5年くらいはいいかげんに銘柄を選んでいた。『会社四季報』を買っていたが読み方がわからない、という程度の知識だった。

だが、2001年9月のアメリカ同時多発テロの前後に相場が悪化。資産が減り、「ちゃんと勉強しなければ」と思い始めた頃にちょうど新聞やテレビで話題になったのが、村上世彰氏が率いる旧村上ファンドだ。

決算書を細かく分析し、企業価値と比べ株価が割安な銘柄に投資して、株価が上がったら売却するという「バリュー投資」の手法を学び、傾倒していった。

2007年に1800万円まで増えた資産は2008年のリーマンショックで半減したが、コツコツとバリュー投資を続け、2017年には8000万円に到達。2020年のコロナショックで2000万円を失ったものの、リバウンド相場の波に乗り、2年後に1億円を達成した。

──新NISAは使っていますか。

旧NISAの時代から毎年、非課税投資枠を目いっぱい使っている。

最初は高配当株を買っていたが、税金は配当金の約20%。利回り3%の銘柄を100万円分買っても、配当3万円の節税効果は1年で6000円程度だ。NISA枠では、値上がり益を狙える銘柄を買ったほうが効果的だろう。

投資しないのもリスク

──「株式投資はリスクが高くて怖い」という声もあります。

日本円を銀行に預けていても、円安やインフレが進めば資産価値は減る。むしろ、株価が下がりづらいバリュー株に長期で投資したほうがリスクは低いと思っている。

──日本株や米国株が大暴落したらどうすべきでしょうか。

リーマンショックのとき、例えば1000円を超えていた住友商事の株価が半分以下になったが、「企業価値が下がったわけではないのにおかしい」と考えて購入した。今も保有しており、株価は4000円近くまで上昇している。

バリュー投資家にとって、大暴落は大チャンスだ。

──投資ビギナーへのアドバイスをお願いします。

投資をするうえで、とくに長期投資では各社の決算書を読み込むことが欠かせない。YouTubeなどの動画を見て買う人も多いが、その銘柄がいいか悪いかを自分で判断できるようになるべきだ。

私は生きている限り投資を続けたい。

(聞き手:中山 一貴)

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