12月1日から札幌圏でまた路線バスが大幅に減便されます。

 札幌市はバス会社の赤字を事実上「全額補助」する方向で調整していて、これがバスの減便ドミノを食い止めるのか、注目されます。

12月1日から路線バスの大幅減便

 12月1日から「北海道中央バス」は143便を減便。

 市民の足が減るのは、利用者にとって大きな痛手です。

 札幌圏では2024年度、4月、6月、10月と路線バスの大幅な減便が相次ぎ、これが4回目。

 12月1日からは大手3社が計329便を減便します。

 また12月1日から27年ぶりに運賃を30円値上げすることも決まっています。

 札幌市内の路線バスの数は2013年度には1万便を超えていましたが、2023年度は7653便。

 この10年ほどで3000便あまりが減っています。

 なぜ「減便ドミノ」は止まらないのでしょうか?

 「やはり運転手不足があると考えている」(北海道バス協会 井元秀樹事務局次長)

 北海道バス協会によりますと、道内のバスの運転手は1993年の約8000人をピークに減り続け、2023年は約5400人と3割以上減っています。

 背景には何があるのでしょうか?

 「やはり賃金面とか、土日も含めた出勤があるとか、労働環境面がある」(井元秀樹事務局次長)

 道内のバス運転手の2023年の平均年収は、約340万円でした。

 すべての産業の全国平均よりも160万円ほど低い水準で、これが運転手離れにつながっています。

 12月1日から運賃を上げることで、バス会社は運転手の年収アップを目指しますが…

 「すぐに賃金アップにつながる会社もあるかもしれないし、そうじゃないかもしれない」(井元秀樹事務局次長)

 人口減少や燃料費の高騰。

 バス会社の経営は厳しく、最大手の北海道中央バスでさえ2024年4月から9月までの連結決算は4億3300万円の赤字です。


止まらない減便ドミノに札幌市は…

 札幌市に支援策はあるのでしょうか?

 市はこれまで最大で年間26億円の補助金を出していましたが、関係者は「26億円はコロナ禍の追加支援金が含まれている。今は足りない」と指摘。

 さらなる支援を求める声に秋元市長は…

 「住民の皆さんの足を確保していくことにこれまで以上に力を入れていかなければならないと思っている」(秋元克広市長)

 秋元市長の言葉通り、市は2025年度からバス会社への補助制度を見直します。

 一部の場合を除き、バスを運行する経費から運賃収入を引いた額を交付し、事実上、赤字分を全額補助する方針です。

 専門家は…

 「単独の(バス)会社でやれることは、かなりやり尽くしている。(赤字を)全額補助する、これは間違ってない判断だと思っている。それがやれていない県庁所在地クラスの自治体もまだまだある」(福島大学 吉田樹教授)

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