もうすぐ12月、洋菓子店では「クリスマスケーキ」の予約が始まっている。ケーキ作りが最も忙しくなるこの時期、卵などの原材料費高騰の波はケーキにも押し寄せている。

山形市にある洋菓子店「ケーキハウス チュチュ」。
クリスマス用に7種類のケーキを用意して、11月上旬から予約の受け付けを始めた。
この先1カ月が1年で最も忙しくなる時期だが…。

(リポート)
「クリスマスのある12月はかき入れ時、ただ原材料の高騰に頭を悩ませているという」

普段の10倍以上のケーキを製造するというクリスマスシーズン。
原材料を仕入れる量も増えるだけに、物価高は店にとって大きな打撃となる。
店主の飯野さんによると、価格が大きく上がっているのが、スポンジケーキ作りに欠かせない「卵」。

(ケーキハウスチュチュ・飯野修代表取締役)
「(去年に比べ)最大130%、3割増しで上がっている。鳥インフルエンザ、夏の影響がもろに出るシーズン、しかも一番需要も上がるので価格が上がる」

鳥インフルエンザの影響や猛暑によるニワトリの夏バテで産卵数が減っている。
JA全農たまごによると、卵の平均卸売価格は7月以降上昇を続けていて、11月は1キロあたり280円になった。
例年12月は卵の価格が上がる傾向があり、さらに値上がりするとの不安があるという。そして…。

(ケーキハウスチュチュ・飯野修代表取締役)
「もしかしたらケーキ屋からチョコレートケーキがなくなるかもしれない、そのくらい上がっている」

卵以上に価格が上がっているのが「チョコレート」。
材料のカカオはほとんどを輸入に頼っているため、原産国の水害の影響や労働者不足などにより、深刻なチョコレート不足が起きている。これによって仕入れの価格は最大で3倍ほどに上昇。

ほかにも、ケーキ作りに欠かせない牛乳・小麦粉・バターも去年に比べ約10%値上がりし、その分をケーキの価格に転嫁せざるを得ない。
店の予約の6割を占める直径15センチのケーキは去年の価格から150円値上げしたが、それでも物価高騰のスピードに追いついていない状況。

(ケーキハウスチュチュ・飯野修代表取締役)
「飲食業全体に言えることだが、仕入れ価格が上がっている分、少し上乗せさせてもらわないと大変。ホールケーキをみんなで分けて食べるのが1つのイベントのようになっている。それを守りたいのでがんばって作りたいと思う」

プレゼントと並んで華やかなクリスマスを彩る「ケーキ」。
提供する店も、買う消費者も、物価高騰を気にしてのクリスマスとなりそう。

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