25日が給料日という方も多いと思う。特にこの春に社会人となったみなさんにとっては初任給となる。この初任給からも企業側が考える今年ならではの事情が見えてくる。
街の人に聞いた。
ーー初任給の思い出は?
◇「かばんをあげましたね。(なんでかばんを?)かばんがほしいって言うので、なんでもいいよって感じであげました。(両親には)お世話になったので、あげたいなって感じで」
◇「東京に就職してね、初任給はバナナいっぱい食べたいと思って。高かったからね、当時はね」
福島市飯坂町で金属板の加工などを行う永沢工機。
新入社員は光野蒼さん(18)一人。先輩に仕事を教わりながら日々成長している。
「それでは光野くん、1か月がんばりましたね。初めての給与明細、給料日なので直接渡します。はい、ご苦労様でした。がんばりましたね」社長から給与明細が渡された。
光野さんは「社会人になったんだなあって感じがします。小学生の頃からなじみがあったラーメン屋さんが閉店しちゃうんですよ。なので閉店する前に家族にごちそうできたらいいなって思っております」と話す。
この春、永沢工機はある決断をした。
永沢工機・永澤耕三社長:「緊急避難として全員に一律1万円」
定期昇給に加え、従業員55人全員に月額1万円のベースアップをした。従業員の確保と人材を育成する投資として迷いはなかったと話す。
永澤社長は「従業員さんの生活とかやりがいとかを一番に考えて、それがあってこその顧客に対する貢献、そういう風に考えておりますので『必要なこと』。通常のやつ(定期昇給)とは別に年間700万ぐらいの支出は増えるんですけども、その分はみんなで頑張って稼ごうよという風なことで、社員さんには、従業員さんにお願いしています」という。
資材費や電気代などが高騰し、経営の負担が増すなかでの賃上げ。この春の給料日は企業側にとっても大きな意味が込められていた。
<福島県 2024年は過去最高の賃上げに>
連合福島がまとめた春闘の回答状況によると、定期昇給とベースアップを合わせた妥結額は1万9621円。前の年と比べると、月額・約1万円アップしている。
これは記録が残る2007年以降で、最も高い水準となる。(※前年比9988円※引き上げ率は6.21% ベアを要求した164組合中98組合が妥結)
連合福島の澤田会長は「企業による人への投資・人材確保」が主な要因と分析している。
一方、企業の規模で賃上げ率に差があるのも事実で、原材料費や人件費の上昇に伴う価格転嫁が進んでいないことが一つの理由とみられている。
鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。