日本全国の外食業界を取材する専門誌『月刊食堂』が選ぶ、「ヒット大賞2024外食チェーン編」。有名駅弁店の新業態から「奇跡の上場」と呼ばれた飲み屋まで、飲食業界に大きな動きがありました。
有名駅弁屋も参入「おにぎり専門店」
「健康志向の高まりやインバウンドで、ここ数年は“和食回帰”と言われている」
こう話すのは『月刊食堂』の通山茂之編集長。特に2024年は「和食チェーン」が絶好調で、和食業界で盛り上がった“3つのヒットワード”があるといいます。
『月刊食堂』通山編集長:
「1つは<おにぎり専門店>。2024年はすごく盛り上がった」
外で食べる“和食のファストフード”として「おにぎり専門店」が急増。個人店だけでなく、チェーン化を目指す店も出てきているといいます。
8月にオープンした『おこめ茶屋 米米-めめ-』(東京・笹塚)は、日本を代表する駅弁のひとつ「峠の釜めし」の荻野屋の新業態。
秘伝の出汁と醤油で炊きあげた釜めしのご飯「茶めし」は、冷めても美味しいのがウリ。その味を知ってほしいと、おにぎり専門店を出したのです。
一番人気は、炙った鮭が中だけでなく上にもドドンと乗った「炙り鮭」(260円)。
イートインもOKで、好きなおにぎりにプラス280円で、みそ汁と漬物が付くおにぎり定食も人気です。
焼き魚の“弱点”を克服した「定食チェーン」
2024年和食業界のヒットワード、2つ目は<定食・丼チェーン>。
『月刊食堂』通山編集長:
「特に『魚の定食』と『うな重』、この2つは市場がすごく好調だった。コロナ禍で、居酒屋を始めとしたディナー業態の調子が良くない中で、ランチ業態がすごく盛り上がったことが理由の1つ」
定食チェーン店の一番のかき入れ時はランチ帯。しかし焼き魚は焼く時間が10分以上かかるので、「客数をさばけない」というネックがあります。
しかし、“画期的な調理法”で拡大を続けているのが、炭火焼き干物定食のチェーン店『しんぱち食堂』です。
秘密兵器は、独自開発した焼き台。
炭の上に干物を焼く網があり、その網の上にも炭が!上下から焼ける2段式なので…
株式会社いろはにほへと 江波戸千洋代表:
「通常の片面で焼くと、10分とか20分かかるけど、ウチの場合は3分から6分位。焼き時間が圧倒的に早くなるので、旨味も逃げない」
焼き魚の弱点“調理スピード”を解消して、回転率をアップ。6月にTHE TIME,で紹介した時は45店舗でしたが、さらに店舗を増やし現在49店舗と好調です。
うまい・早い・安い「鰻チェーン」
そして、もう1つ。2024年に急成長したチェーンが『鰻の成瀬』です。
5月に紹介した時は150店舗ほどでしたが、10月現在で250店舗越え!
『月刊食堂』通山編集長:
「ものすごく出店スピードを上げている。外食産業の歴史の中でも、このスピードで多店化を実現したチェーンは前例がない」
店のウリは、圧倒的なコスパの良さ。
うな重「梅」(1600円)では、半尾のうなぎが他のチェーン店の約1.5倍の大きさ!お重からはみ出すボリュームです。
ここでも、超成長を支えているのが“画期的な調理法”。
うなぎは焼く技術が難しいといわれていますが、入って初日のアルバイトでも、ボタン一つで職人並みに焼けちゃうマシンを開発。これにより、チェーン店の定番「うまい・早い・安い」を実現させたのです。
Z世代に刺さった「下町グルメチェーン」
2024年和食業界のヒットワード、最後は<ご当地グルメのチェーン店>。
『月刊食堂』通山編集長:
「例えば『もんじゃ』や『焼きとん』は、東京を中心にした関東の食文化。こういう一部地域でしか食べられていないものでチェーン化をする企業が出てきた」
東京下町のソウルフード、もんじゃ焼きをチェーン化したのが『元祖海老出汁 もんじゃのえびせん』(全国で4店舗展開)です。
一番人気は、魚介・チーズ・もちなど具だくさんの「元祖海老出汁もんじゃスペシャル」(1859円)ですが、ウリはエビの殻を焼いて5~6時間煮詰めて作る「えび出汁」。
女性客:
「えびの出汁が風味豊かに香って下町のもんじゃにはない味わい」
これまでになかった独特の味と食べ方が、もんじゃ初体験のZ世代に刺さり、リピーターが続出!大阪や神奈川にも展開エリアを広げているといいます。
“奇跡の上場”を果たした「立ち飲みチェーン」
そして、急成長の“ご当地グルメ”チェーン店がもう1つ。2024年2月に株式上場した『立呑み焼きとん大黒』です。
『月刊食堂』通山編集長:
「お酒を出す業態で、かつ立ち飲みで上場は難しいだろうと言われていたが、かなりの快挙。“奇跡の上場”と言われている」
新鮮な豚や牛もつを客の目の前で焼き上げ、1本99円~とリーズナブル価格。
一番人気「ればテキ」(1本242円)は、ふわトロに焼き上げたレバーに、ごま油が効いたネギダレたっぷりの1本で、常連客の中には「週8~9回来る」という人まで!
ヒットの秘密は、串焼きの効率化。
熟練の技が必要な「串打ち」はすべて自社工場で行い、各店舗に配送。店では焼くだけなので、大幅な時短になっているといいます。
“奇跡の上場”を成し遂げた『焼きとん大黒』、今後数年でグループ100店舗の
達成を目指しています。
櫻坂46・松田里奈の「個人的」ヒット外食2024
スタジオでは、櫻坂46・松田里奈さんが“個人的”ヒット外食を披露した。
「夏の忘れられない思い出になった」というのが、『yelo(イエロ)』(東京・六本木)のティラミスかき氷。
数あるかき氷店を自らリサーチし、厳選しての訪問。ケーキ風のかき氷は初めてで「最高に美味しかった」とのことだが、“おまけ”の思い出も。
櫻坂46・松田里奈さん:
「美味しくて全部食べ切ったら、すごく寒くなって、夏だったんですけどおでん食べに行きました(笑)」
ただ、数々のヒット外食が生まれる一方で、「飲食店の厳しい現状」も…。
あれだけ人気だった「から揚げ専門店」は、2023年に倒産が急増。「焼肉店」も牛肉の高騰で2024年は倒産が倍増している。(※帝国データバンクより)
『月刊食堂』通山さんによると、「外食店は10年で1割しか生き残ることができないと言われている」とのことで、飲食店は、ヒット以上に“続ける難しさ”があると紹介した。
(THE TIME,2024年10月3日放送より)
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