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 1985年に発売された日本語用のワープロソフト「一太郎」。一時代を築くほど人気を博したが、10年後に発売されたOS「Windows 95」のヒットをきっかけに、ライバルとなる「Word」を利用する人が増えた。最近では「Googleドキュメント」を用いて、クラウド上で同時に複数の人が編集できるサービスなども充実している。それでも一太郎は、今でも例えば霞が関で、法案文書の作成をする際にWord以上の機能を発揮するなど、重宝されているという。

 とはいえ、若手官僚を中心に、働き始めたタイミングで馴染みのない一太郎を一から覚えるのが大変だという声もある。『ABEMA Prime』では、今年発売されたもので34代目となる一太郎の魅力と今後について考えた。

■法案作成なら「一太郎」縦書きで抜群の使いやすさ

 まだ日本でパソコンが一般的に普及する前、ワープロでは一太郎が大活躍してきた。機能の多くは現在、他のソフトでも実現可能だが、行政書士で一太郎を30年以上も愛用している遠藤正樹氏からすれば、その使いやすさは格別だという。また現在も霞が関で作られる法案文書のほとんどが、一太郎で作られているというから驚きだ。遠藤氏は「日本語特有の縦書きに完全に対応できる。欧米のタイプライター文化は左から右、上から下で、Wordもそういう思想で生まれているが、日本語に特化した一太郎は縦書きもちゃんとできるし、インデントも自由にできる。文章の作りやすさは、Wordと大きな違いがある」と説明した。

 総務省職員からも一太郎を好む声は根強い。複雑な法律文書の場合、狙いすましたところに文字を置かないと、法律の意味が変わってしまうこともあるという。その意味で表の改行位置、インデント(字下げ)での階層表現をする点で、一太郎は優れているという。このほか、日本語専用ということもあってか文章の校正力が高く、音声読み上げ機能についても本文を男性、カギカッコ内を女性と読み分けることも可能だ。

 2ちゃんねる創設者のひろゆき氏も「人の名前の外字登録もやりやすい。たとえば“さいとう”だけでもいろいろな種類がある。Wordだと2、3個しか出てこないが一太郎なら何個も出てくる」と優位点を挙げた。

■他ソフトに抜かれた一太郎の未来は

 過去の法案が一太郎で作成されていることもあり、データを再利用する上でも一太郎を使い続ける慣習が霞が関に存在しているというが、わざわざ習熟に時間をかけることには賛否の声も。Windows 95の登場により、国内でも家庭用のパソコンが爆発的に普及、同時にWordの利用も広まった中、一太郎の存在感は次第に薄れ、新たな法案作成時もWordで作成されるケースが増えているという。遠藤氏も、一太郎の未来については「たぶんシェアはそんなに伸びていないし、これから伸びるきっかけもない。30年使ってきたユーザーとしても、明るい未来があるとは思えない」と率直な思いを述べた。またひろゆき氏も「ビジネスパソコン上ではもう勝てないと思うので別の分野、たとえばNintendo Switchに入れるのは一太郎とか、まだ生き残れる道はあるのでは。(製造元の)ジャストシステムには頑張っていただきたい」と、存続に期待していた。
(『ABEMA Prime』より)

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