全国に約27万軒ある美容室ですが、帝国データバンクの調査によりますと、今年1月~8月の倒産件数は139件と去年の同時期の約1.5倍。背景には競争激化や資材高騰、人件費などのコストアップが挙げられています。厳しい状況にある美容室ですが、利用者も知っていると得をする“美容室の生き残り策”を取材しました。

シャンプーを自動化で人件費削減 カット代1430円の美容室が人気

 全国に約27万軒、店舗間の競争も激しい美容室。そんな美容室が今、生き残りをかけてどんどんと“多様化”しているんです。今回は知っていれば選択肢として生かせる価格とサービス面の多様化を見ていきます。まずは皆さん、1回の美容室代はいくらぐらいですか?

 「カラー・カット・トリートメントで1万3000円とかですね。美容は譲れないので、そこ以外で生活費を削るようにしています」
 「カットだと5000円くらい。パーマとかカラーを入れると1万円から1万5000円くらい。イメチェンになるんでそのためならお金かけていいかなと」
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 カットだけでも約5000円、カラーやトリートメントを含めたらすぐ1万円超え。定期的に行きたいけど、決して安くはない美容室代。そんな中、カット代をぐっと抑えた低価格の美容室が注目を集めているんです。

 全国に73店舗、利用客の約8割が女性というカットカラー専門店の「チョキペタ」。カットが1430円(税込み)と低価格にできる理由は、まずカットやシャンプーなど、自分に必要なサービスだけ選べるようにしたこと。さらにシャンプーを最新機器で自動化し、作業効率を上げることで人件費を削減。「オートシャンプー」は働く美容師にもメリットがあるようで…
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 (「チョキペタ」寝屋川店 牧野さなえマネージャー)「オートシャンプーの導入によりシャンプー時間の短縮だけでなく手荒れや腰痛に悩む美容師さんの体への負担軽減となっています」

 シャンプー後のドライヤーやお会計も“セルフ化”することで低価格を実現しているのです。

カラー剤はペンチで絞りだす 徹底したコストカットでお値段690円!?

 これよりも、さらに低価格に成功している美容室も。お値段なんと税込み690円!MBSの大吉洋平アナウンサーが訪れたのは、「ヘアーサロンIWASAKI」。全国に1160店舗あり利用客の割合は男女半々だそうです。大吉アナもさっそくカットを体験。美容室に来るのは1か月ぶりだそうです。「長さは変えてほしくないが、毛の量はすいてほしい」など注文が多い!多くの注文にもかかわらず、ためらいなくどんどん切っていきます。
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 カットにかかった時間はわずか10分!果たしてその仕上がりは?

 (大吉アナ)「10分だからと言って急いでされた感覚はなくて、すごく丁寧にサイドも後ろも毛量の調節もしていただいたなと。690円はちょっとビックリ。クオリティ抜群だし早いし安いし。関西の人間がうれしいこと、全部詰まっているじゃないですか!」
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 こちらの店舗では通常カットのみ980円が、平日の正午から午後2時までサービス価格で690円となっています(※すべて税込み 店舗によって時間帯は異なる)。

 (客)「早くて安い。すごく助かります」
 (客)「安いうえにクオリティーも高いので満足しています。すぐ出なあかんときでも、来たら5分くらいで終わらせてくれた時があって、本当に助かっています」

 なぜ格安でサービスを提供できるのかというと…

 (「ヘアーサロンIWASAKI」広報部・岩崎麻由部長)「当社で特殊な技術を編み出しているので、その技術を使って多くのお客さまに短時間で入客できるようになっています」
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 徹底したコストカットも。カラー剤はペンチを使って最後まで絞りだし、店舗ごとにかかってくるチューブの処分費用も金属リサイクルに出すことでカットしています。こうした努力もあってか、店舗数は右肩上がりに年々増加。特に、“少し伸びてきた髪のメンテナンス”をする利用客に好評なんだとか。

 (大吉アナ)「1週間に1回来ても、690円とか980円。破格ですね」
 (岩崎麻由部長)「ありがとうございます。そう言っていただいて喜んでいたただくのが、本当に何よりうれしいことだなと思います」

ラグジュアリー化に特化の美容室 外国人観光客にも人気

 低価格化の一方で、高価格で特別感を高めた”ラグジュアリー化“に特化するお店も。

 (「AMATORA SPA」 美曹友紀代表)「髪の毛を作る土壌の頭皮からきれいにしていきたいというコンセプトがありますので、根本から美髪に導くと」

 カットやカラーなどはもちろん、髪を美しく保つヘッドスパがここの売り。個室で行う特別な「アーユルヴェーダ・スパ」の人気コースは、90分で2万3100円(税込み)です。

 (「AMATORA SPA」 美曹友紀代表)「1回で5~6万円というような世界もありますね」

 取材した日に来ていた常連客は…

 (常連客)「(Q髪へのこだわりで選んでいる?)そうです、もちろん。髪の毛は1回傷んでしまうとなかなか戻らないので、お値段それなりだったりとかしても、髪の毛に良いのがまず第一条件かなと」

 さらに、このラグジュアリー化は、日本人のみならず、外国人観光客の旅の目的にもなっているそう。こちらのお店では月の利用者の3割ほどにあたる約100人が外国人観光客だと言います。
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 (イタリアから)「日本の美容院は上品で技術もプロフェッショナル。すごくサービスが良くて最高の仕上がりにしてくれる。美容室は普通と違った日本の楽しみ方です」

 価格とサービスだけでもこれだけ多様化する美容室について、専門の経済アナリストはこう話します。
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 (理美容金融リテラシー協会 中村浩徳代表)「(Q生き残っていける美容室はどんな店?)最終的にはやっぱり客のことをしっかり考えて満足度を高める接客と技術が提供できる店。もう1つ大事なのはスタッフの満足度。働き方の多様性も出てきている中で、美容師が働き方を選択できる美容室なら存続できる可能性が高いと思います」

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