(ブルームバーグ):鈴木俊一財務相は1日、退任に当たっての閣議後記者会見で、歴史的な円安下で複数回にわたって実施した円買い介入について、「投機筋の動きもあって一方的な円安に振れる中、意味のある為替介入だった」と振り返った。
鈴木財務相は、円相場が対ドルで今年、一時約37年ぶりの円安水準となる1ドル=161円台まで下落したことに言及し、「円安にはプラスとマイナスの両面があるが、どちらかというとマイナスのことを懸念していた」と指摘。「為替レートは市場を通じて決定されるべきもので、為替介入はまれでなければらない」としながらも、介入によって「投機筋で一気に動いていたのが沈静化してきた」と述べた。
財務省の公表資料によると、政府・日銀は2022年9月に24年ぶりの円買い・ドル売り介入を実施。その後も同年10月、24年の4月から7月にかけて断続的に介入を行った。4月29日の介入額は日次ベースで5兆9185億円と過去最大を更新するなど、在任中の介入規模は合計で約24兆5000億円に上った。
1日のドル・円相場は144円付近と、7月の安値からは10%余り円高水準で推移している。鈴木財務相は足元の為替動向について、「普通の市場によって決定されるというような環境ができてきたんじゃないかと思っている」とも語った。
岸田文雄首相は同日午前の閣議で閣僚の辞表を取りまとめ、岸田内閣は総辞職。鈴木財務相は約3年間の任期を終えた。
共同通信などによると、鈴木財務相の後任には加藤勝信元官房長官が就任する方向で、鈴木財務相は加藤氏について「今までの付き合いの中でも極めて常識的な方」と話した。
--取材協力:横山恵利香.もっと読むにはこちら bloomberg.co.jp
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