(ブルームバーグ):みずほフィナンシャルグループ傘下のみずほ証券の浜本吉郎社長は、国内金利の上昇を受け、日本国債のトレーダーなどに「ベテラン社員」を登用する構えだ。社内やグループ銀行から必要に応じ経験者を充当する。また、投資家に金利商品などを提案する人材育成も強化し、収益機会を広げる方針だ。
浜本氏はインタビューで、債券市場では人材獲得競争が過熱しているとの認識を示した上で、みずほ証の「人材は潤沢だ」と強調した。一例として、他社に引き抜かれたとしても、他の部署に異動していた「往年の稼ぎ頭」を現場に戻すなどの人事を行っていると述べた。外部採用も活用する考え。
日本銀行が3月に17年ぶりの利上げに踏み切ったことを受け、国債を含めた金利取引が活発化し、ヘッジファンドなどの市場参加者も増えている。「金利ある世界」で実績を積んだ人材の獲得競争が内外の金融機関の間で激しくなる中、みずほ証はグループの力を生かす形で専門人材の確保を図る。
具体例として、25年以上の取引経験を持つシニアトレーダーが昨年11月に復帰。中期債のマーケットメーク(値付け業務)を現在、担当しているという。
浜本氏は今後の投資家動向について、特に財団や事業会社、学校法人などの資産運用で株式や外国債券に偏重していた資金の一部が円金利資産に流れ込むとみている。法人部門の担当者に市場部門の担当者が研修を行うことなどで人材を育成して商品提案力も強化し、ニーズのある顧客に「プロダクトを供給していく」と述べた。
株式資本市場
浜本氏は株式関連ビジネスも強化する方針だ。日本株式関連の引き受けランキングでは、トップ3以内を確保し、首位も目指す考えだ。海外投資家も対象とした関連商品の販売拡大などに向け、体制は十分整っているとの認識も示した。
ブルームバーグのデータによると、みずほは2024年度の日本の株式・エクイティーリンク債の引き受けランキングで5位に付けている。国内の株式資本市場(ECM)は政策保有の解消に伴う売り出し増加などで20年ぶりの高水準に膨らんでいる。
米国事業でも「ECMで恒常的にトップ10入りしていきたい」と意欲を示した。みずほは23年の米国の同引き受けランキングで過去最高の10位だった。また、同年に買収を発表した米投資銀行グリーンヒルとの間で、投資案件を含む共同提案が800件超に上るなどの買収効果についても明らかにした。
浜本氏は6月に現地当局から申請が受理された中国での証券会社設立について、強みを持つ債券取引を軸に事業法人や機関投資家向けのビジネスを展開していく方針を示した。同国の資本市場は世界第2位の規模になりつつあり、海外勢の競合先も多く「非常に競争が激しいマーケット」と認識している。
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