福島第一原子力発電所で9月26日から始まった通算9回目となる処理水の海洋放出。中国による日本産水産物の禁輸措置の緩和が決まり輸出再開に期待が高まる中、東京電力に改めて求められるのが緊張感だ。
<福島県漁連組合長会議>
福島県いわき市で26日開かれた福島県漁連の組合長会議。
東京電力の担当者:「(処理水放出は)一回一回緊張感を持ちまして、その取り組みを進めて参りたいと思いますし、実施主体としての責任をこれからも果たしてまいりたい」
その姿勢が、これまで以上に求められることになりそうだ。
<9回目の処理水の海洋放出はじまる>
東京電力は26日から通算9回目となる処理水の海洋放出を開始。10月14日までの19日間でタンク8基分に相当する約7800トンを薄めて海に流す計画だ。
<中国の禁輸緩和措置受け>
この海洋放出をめぐり、中国は2023年8月の開始直後から日本産水産物を禁輸する措置を取ってきた。しかし、9月20日モニタリングの拡充を条件に段階的に輸入を進めることで日本と合意した。
時期は未定だが、中国の禁輸緩和を踏まえ、福島県漁連の野崎哲会長は「(中国と)これから少しずつ交渉があって、進むということで、それが上手く進む中でも、アルプス処理水の海洋放出が何事もなく、やって貰わないとそういうことにも影響するので、注意してやって貰いたいと思います」と話した。
<水産加工会社の受け止め>
一方、中国の禁輸措置緩和に対する期待感は、水産加工会社の間にも広がっている。
いわき市小名浜でメヒカリやヤナギガレイの干物などの水産加工品を製造する会社の経営者は…。マルショウ櫻井の櫻井料社長は「直接的には関係ないですけど、きちんと安全が担保されたものだったら、それなりの評価を得て、販売していってくれるのは良いことじゃないですか」と話す。
中国への輸出はこれまでないが、今回の緩和を契機に日本や福島の水産物の魅力が広く伝わることを期待する。櫻井社長は「今まで通りに出荷出来るという事は、良いことだと思います。すぐにきょうから解除しましたから、すぐ(出荷)という訳にはいかないでしょうけど、時間をかけて、以前の通り行くようであれば、それは喜ばしい事だと思います」と話す。
そうした中、廃炉の難しさに理解を示しながらも東京電力に求めたのは“緊張感”だった。「本当に緊張感を持って、仕事をしていただいて、間違いのないように続けていただけれな良いと思います」櫻井社長はそう話した。
<台湾でも輸入規制緩和>
原発事故から13年半がたち、台湾でも輸入規制緩和の動きがあった。台湾当局は、9月25日原発事故を受け続けていた福島など5つの県のキノコ類などの輸入規制を緩和すると発表した。これで日本で流通する全ての食品を台湾に輸出できるようになった。
台湾の衛生当局は「科学的根拠と国際基準に基づき、日本産食品の輸入規制を見直した」と説明。林官房長官は26日の記者会見で「規制全廃に向けたさらなる一歩として歓迎したい」とコメントしている。
ただ、放射性物質の検査報告書の提出などは義務づけられ、依然として「6」の国と地域で原発事故に伴う輸入規制が続いている。
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