日本銀行は利上げを決めた7月の金融政策決定会合の議事要旨を発表しました。そのなかで「30年続いた縮み志向の経済がわずか2年で一気に変わるとは考えにくい」という反対意見が出ていたことが分かりました。

 日銀は7月、政策金利である短期金利の誘導目標を0.25%程度に引き上げました。

 26日発表された議事要旨によりますと、足元での物価や賃金などの状況から、出席した多くの委員が利上げが適切だとしました。

 それに対してある委員は、「30年続いた縮み志向の経済がわずか2年で一気に変わるとは考えにくい」としたうえで、経済の持続的成長を裏付けるデータが少なく、次の会合で利上げの有無を判断すべきだと反対していたことが分かりました。

 議事要旨の発言者は匿名ですが、こうした議論の結果、日立製作所出身の中村豊明委員と専修大学教授などを務めた野口旭委員の2人が反対したものの、植田総裁ら7人の賛成多数で利上げが採決されました。

 また、ある委員は、景気を過度に上昇も下降もさせない適切な政策金利=中立金利について、2025年度後半までには最低でも1%程度まで引き上げる必要があると指摘していたことが分かりました。

 中立金利を巡っては、三井住友銀行出身の田村直樹委員が12日の岡山市での講演で同様の主旨の発言をしています。

鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。