フジテレビでは今、持続可能な社会のために何ができるのかを考える「楽しくアクション!SDGsキャンペーン」を行っています。
25日は、偏見もなく、けがのリスクも少ない、誰もがラグビーを楽しめるイギリスのケースに迫りました。
夜のグラウンドでラグビーボールを追い掛け走る大人たちですが、どことなくラグビー特有の荒々しさがないような。
パスも優しく、プレイヤー同士がぶつかり合うこともありません。
ロンドンのラグビー場では、平日の夜にLGBTQの人たちが集まってタッチラグビーの練習をしています。
タッチラグビーとは、タックルの代わりにタッチをするラグビー。
けがのリスクが少ないため、年齢や性別を問わず誰もが楽しめるスポーツです。
ベッキーさん:
タッチラグビー大好き。ありのままの自分でいられるコミュニティーを見つけられてうれしい。
ジェームスさん:
子どもの頃、チームスポーツはあまり得意ではなかった。それが完全に変わって週に1、2回プレーする機会が来るのが楽しい。
タッチラグビーチームを運営するのは、LGBTQ+の支援団体「West London Queer Project」。
ラグビーだけでなく、さまざまな交流イベントを行っています。
参加者は性的マイノリティにとどまらず、多種多様な人たちが集まります。
WLQP代表・オーブリーさん:
LGBTは多くの場合、それぞれで固まって一緒に行動したがる。自分のグループにいる方が落ち着くから。私はこうした垣根を取り払い、人々が集まるように努めている。
イギリスは、性的マイノリティを自認する人の割合が11%。
ロンドンでは、毎年夏に性別などに関係なく平等に暮らせる社会の実現を訴える「プライドパレード」が行われ、100万人以上が参加しています。
街中には、LGBTQ+を表す記号や、性的マイノリティの人が手をつないでハートマークを作っている信号も。
実は、イギリスで性的マイノリティに対する理解度が上がったのはここ最近のことです。
25年前の調査では、LGBTQ関連の法整備達成度は、OECD(経済協力開発機構)加盟国の中で最下位でした。
今も地方などでは差別的な扱いを受けることもあると話すオーブリーさん。
誰でも楽しめるラグビーチームを作ったのには理由があるといいます。
WLQP代表・オーブリーさん:
わたしも含めほとんどのLGBTQ+の人たちは、誰もが学校のスポーツに何らかのトラウマを抱えている。同性愛者だとからかわれたり、動きが鈍いとか言われたり。
日本のある調査でも、体育のときの服装や環境、更衣室での経験などからLGBTQ+の当事者は、ネガティブな経験をしていることが分かっています。
2023年に結婚したばかりだというマイケルさんもその1人。
しかしタッチラグビーと出会ったことで、次第に変わっていったのだといいます。
オーストラリア出身・マイケルさん:
学校の体育は厳しかった。大人になっても その頃の嫌なことばかり思い出したけど、今はそれもなく前向きだ。
チームが心掛けているのはLGBTQ+だけでなく、誰もが楽しみを見つけられる場にすること。
スウェーデン出身・ジェーディーさん:
コーチである私にとって異なるものを排除せず、受け入れる文化を育てていくことはとても重要だ。誰もが間違いを犯しても大丈夫。最速のランナーでなくてもいい。私は、そのことに注意を払うようにしている。
スポーツの場で、誰もが嫌な思いをすることなく前向きな気持ちで楽しめるように、ロンドンでのこの取り組みはみんなが安心できる社会につながるヒントになるかもしれません。
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