(ブルームバーグ):複数の米金融当局者は23日、大幅な追加利下げの可能性を排除しない考えを示した。現在の金利水準はなお米経済に重くのしかかっていると指摘した。

シカゴ連銀のグールズビー総裁はシカゴで開かれたイベントの質疑応答で、「向こう1年で、金利を中立水準まで引き下げて現状維持を図るまでにはなお長い道のりがある」と述べた。

ただ同総裁を含む当局者らは次回連邦公開市場委員会(FOMC)会合での0.5ポイント利下げの支持表明までは踏み込まず、今後のデータを考慮して判断すると述べるにとどまった。次回会合は大統領選挙後の11月6、7両日に開かれる。

グールズビー総裁は現在の政策金利について、経済成長の加速も減速も招かない理論上の金利水準である中立金利を数ポイント上回っていると推計しているとも述べた。

シカゴのイベントで発言するグールズビー・シカゴ連銀総裁

他の当局者よりも利下げを強く主張したグールズビー総裁は、雇用情勢とインフレ率はそれぞれ好ましい水準にあるものの、今後数カ月内に「大幅」利下げを行わない限り、その状態は維持できないと強調した。

「あまりにも長く景気抑制的水準にとどめれば、二つの責務にとっての最適スポットから遠からず外れることになる」と説明した。

グールズビー総裁に加え、アトランタ連銀のボスティック総裁とミネアポリス連銀のカシュカリ総裁も先週のFOMC会合での0.5ポイント利下げを支持したことに言及した。

先週の会合後に発表された当局者の経済予測によると、長期的な中立金利の予想中央値は2.9%だった。当局者の来年末時点の政策金利見通しには大きなばらつきが見られた。

ボスティック総裁は利下げペースについてはグールズビー総裁より慎重な姿勢を明確に示しているが、中立金利に達するまでに利下げ余地がある公算が大きいという点では同様の見解を示した。

欧州経済・金融センター(EEFC)主催のオンラインイベントで語るアトランタ連銀のボスティック総裁

ボスティック総裁は欧州経済・金融センター(EEFC)主催のオンラインイベントで、現在の政策金利が中立水準を大幅に上回っているとの見方に異議はないだろうと指摘。ただインフレと雇用に関する不確実性があるため、1回で0.5ポイントを超える大幅利下げの可能性は排除されるだろうとの見方を示した。

同総裁は0.5ポイントの追加利下げを支持するかどうかについては直接コメントせず、先週の動きが繰り返されると想定しないよう警告。しかし、「今後1カ月ほどで労働市場が大幅に悪化するさらなる兆候が見られれば、どの程度積極的に政策調整を進める必要があるかに関する私の見解は間違いなく変わるだろう」とも述べた。

中立金利巡る議論

米金融当局者は中立金利がどの水準にあるか、また新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)が米国と世界の経済に深刻な混乱をもたらして以降、中立金利が上昇しているかどうかについて長く議論を続けてきた。大半のエコノミストは中立金利が上昇しているとみているが、この現象が一時的なものなのか、それとも恒久的なものなのかは不透明だ。

カシュカリ総裁はミネアポリス連銀のウェブサイトに掲載された自身の論文で、政策金利が高水準にあっても米経済はなお堅調だとし、この議論に加わった。

「この経済の底堅さが長引けば長引くほど、中立金利の一時的な上昇が実際は一段と構造的なものである可能性を示唆するものだとの認識が強まる」と述べた。ただ、全体的な政策スタンスは「なお引き締め的」だと付け加えた。

カシュカリ総裁は論文発表後に受けたCNBCとのインタビューで、年内残る2回のFOMC会合では0.25ポイントずつの利下げを支持すると語った。

連邦準備制度理事会(FRB)のウォラー理事も20日、景気が想定通りに進展すれば今後2回の会合でそれぞれ0.25ポイントの利下げを支持する可能性が高いと述べていた。

原題:Fed Officials Leave Door Open to Another Large Interest-Rate Cut(抜粋)

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