9月中旬にもかかわらず、列島各地で危険な暑さが続いています。
こうした厳しい残暑の影響で、アパレル業界には、ある異変が起きています。

9月といえば本来、秋冬物の新作コレクションが店頭に並ぶ時期。
しかし2024年は、夏物の衣服をあえて残しているといいます。

ファッションデザイナー・ドン小西さん:
いわゆる今年の秋冬(コレクション)で「我々のテーマはこれです」とか、そういうことを言っている場合じゃない。毎日毎週の売り上げが勝負。

13日も最高気温が34度近くにまで迫り、異例の残暑となった東京都心。

街行く人の服装を見ていると、多くの人が半袖やタンクトップを着用し、まだまだ夏の装いが多いようでした。

30代:
(Q.衣替えした?)夏服のまま。耐えられないくらい暑いので。(Q.秋服出した?)一応買ったからあるけど、出せてない。

20代:
きょうギリ夏服。(去年の今頃は)カーディガン着てた気がする。(Q.クローゼットの中は?)まだ夏服。

一方で“ファッションの秋”を楽しみたいと、すでに衣替えを済ませたという人もいました。

20代:
きょうは秋仕様、もう9月に入ったので。(Q.足元はサンダル?)足はまだ、さすがにブーツとかだと暑いので。

取材に答えてくれた人のほとんどが、まだ衣替えをしていませんでした。

こうした中で嘆きの声が聞かれたのが、都内のクリーニング店です。

小林ランドリー工場・小林瑠美さん:
この暑い気温だと、全然クリーニングの品物集まらない。(1日に)1人2人引き取りだけとか。売り上げワイシャツ1枚とか。開けておく必要あるのかなと思う日が8月からずっと続いている。

こちらのクリーニング店では例年、8月には客足が遠のくものの、9月に入ると衣替えのため徐々に回復するといいますが、2024年は厳しい状況が続いているといいます。

さらに、こちらのクリーニング店では、3カ月までは無料で衣類を預けることができますが、それ以降は1点につき550円の追加料金がかかります。
しかし2024年は、厳しい残暑の影響で引き取りに来るタイミングが遅くなっているといいます。

小林ランドリー工場・小林瑠美さん:
トラブルがあっても、クリーニングしてから半年くらいしか対応できない。一応そういう法律で決まってるので、できれば補償とかの問題でも、早めに引き取ってもらって中を確認してもらいたい。

一方アパレル業界では、これまでの春夏秋冬ごとの四季に分けていた商品展開に変更が。

松屋銀座内で営業する衣料品店は、2024年からは9月に入っても秋冬物にあえて切り替えず、夏物の新作を店頭に並べています。

三陽商会・菅泉拓己執行役員:
昨年は記録的な猛暑酷暑で、今までの考え方で商品を展開したときに、正直売り上げがなかなか厳しかった。

これまでは年間の販売スケジュールを四季で考え、それぞれ3カ月単位で商品の入れ替えなどを行っていました。

しかし2024年からは、夏のあとに「猛暑」の季節を追加し、夏物の販売期間を5カ月に伸ばしています。

三陽商会・菅泉拓己執行役員:
特にジャケットだとかTシャツ、ニットの半袖とか、そこに力を入れて、この辺のもの(夏物新作)については、20~30%くらいプラスが出ている。非常に売り上げにも貢献している。

ファッションデザイナーのドン小西さんに話を聞いたところ、こうした動きは加速していくといいます。

ファッションデザイナー・ドン小西さん:
Tシャツだったり夏のワンピースだったり、そういうものが店頭に並ばざるを得ない。実売も考えて、数字もつくっていかなきゃいけない。そういうところに苦しい対応をしていくというのは事実なんでしょうね。

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