(ブルームバーグ):中国の8月の輸出は予想外に伸びが拡大し、輸出額はほぼ2年ぶりの高水準となった。デフレ圧力で圧迫される中国経済にとって数少ないプラス要因だ。
税関総署が10日発表した8月の輸出は前年同月比8.7%増の約3090億ドル(約44兆2000億円)と、2022年9月以来の規模。伸び率はエコノミスト予想中央値(6.6%増)を上回った。7月は7%増えていた。
一方、輸入は前年同月比0.5%増にとどまった。予想は2.5%増加だった。貿易黒字は910億ドルとなった。
住宅不況や物価低迷に見舞われる中国経済にとって、輸出分野は明るい材料だが、世界の市場への安価な製品流入は米国や南米、欧州で反発を招いており、中国の成長戦略を巡る持続可能性には疑問も投げかけられている。
ピンポイント・アセット・マネジメントの張智威チーフエコノミストは「中国経済は弱い内需と強い輸出競争力という分岐した傾向を示し続けている」と指摘。「米経済の軟化と貿易摩擦の高まりを考えると、輸出がいつまで好調を維持できるかが問題になる」と語る。
輸出の継続的な拡大は景気の押し上げ要因となるが、中国企業は販売を確保するため値下げを余儀なくされており、ここ数カ月は輸出数量の伸びが輸出額を上回っている。
安価な中国製品の流入で神経をとがらせる貿易相手国は増えている。電気自動車(EV)や鉄鋼などではすでに関税の賦課を発表しているところもある。
オーストラリア・ニュージーランド銀行(ANZ)の大中華圏担当チーフエコノミスト、楊宇霆氏は「中国の輸入の弱さは低調な内需を反映している」と分析。「高水準の貿易黒字は、米欧の当局者の関心事である中国の過剰生産能力に関して多くの懸念を引き起こすだろう」と述べた。
原題:China’s Exports Jump to Two-Year High in Rare Boost for Economy(抜粋)
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