(ブルームバーグ):イエレン米財務長官は金融システムには危険を警告する「赤信号は点滅していない」と述べ、雇用の伸びが弱まる中でも米経済はソフトランディング(軟着陸)を達成したとの見方を改めて示した。

イエレン長官は7日、テキサス・トリビューン・フェスティバルでブルームバーグ・ニュースのデビッド・グラ記者と対談。「米国では資産評価であれ、レバレッジの高さであれ、リスクを把握するためにわれわれがモニターしている指標は良好のようだ。赤信号は点灯していない」と述べた。雇用については「下振れリスクに留意している」と述べつつ、雇用は堅調に伸びていると指摘した。

米雇用者数の伸び、市場予想に届かず-利下げ幅巡る議論活発化へ (2)

動画:対談するイエレン米財務長官

「リスクはあるものの、これまで達成したようにインフレを有意に押し下げることができたのはまったく称賛に値する」とイエレン長官。「これこそが、多くがソフトランディングと呼ぶものだ」と述べた。

同長官は「賃金がまずまずのペースで上昇しており」、インフレより高い上昇率を維持しながら、大量レイオフが起きていないことを強調。月間の雇用増は新たに参入する労働力を吸収するのに必要な水準付近にあると指摘した。

鉄鋼大手

イエレン長官はまた、日本製鉄による141億ドル(約2兆60億円)でのUSスチール買収計画を巡る対米外国投資委員会(CFIUS)の審査状況についての質問に対し、詳細へのコメントを一切控えた。

イエレン長官は対談で、外国からの投資に米国が引き続きオープンであることを明確にした。対米投資が国家安全保障上の懸念を引き起こす可能性がある点も強調した。

CFIUSは財務長官が議長を務め、関係省庁で構成される。長官は「われわれが世界中の多くの国々に投資しているのと同様に、外国企業の対米投資にオープンで健全な環境を維持することが優先事項の一つだ」と指摘した。

日鉄によるUSスチール買収計画を巡っては、バイデン米大統領が阻止する準備を進めていると、事情に詳しい複数の関係者を引用してブルームバーグが先に報じた。11月の大統領選で民主党大統領候補のハリス副大統領もUSスチールについて、引き続き国内で所有・操業されるべきだと発言している。

原題:Yellen Says No Red Lights Flashing as US Makes Soft Landing (1)(抜粋)

(米経済についての発言を加えて更新します)

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