(ブルームバーグ):8月の米雇用統計では、非農業部門雇用者数の伸びが市場予想を下回り、6、7月分も下方修正された。予想される米金融当局の利下げがどの程度の幅になるかを巡って、議論が活発になりそうだ。

上段:非農業部門雇用者数と同雇用者数の3カ月平均、下段:失業率

非農業部門雇用者数は3カ月平均では、2020年半ば以来の低い伸びとなった。

失業率は5カ月ぶりに低下した。一時的なレイオフ増加の流れが反転したことを映している。

雇用の弱さが続いていることが示され、金利スワップ市場では今月の連邦公開市場委員会(FOMC)会合で0.5ポイントの利下げが実施されるとの見方が強まった。

9月の0.5ポイント米利下げ、確率50%に-雇用統計受け米国債上昇 (1)

 

カーソン・グループのグローバル・マクロ・ストラテジスト、ソヌ・バーギーズ氏は「労働市場は明らかに軟化しており、米金融当局はテールリスクを断ち切るために介入する必要がある」と、統計発表後にリポートで指摘。「今回の雇用統計は9月利下げを決定づけたが、真の問題は利下げ幅を大きくするかどうかだ」と記した。

8月は製造業や小売り、情報業界での雇用減少が響いた。一方、娯楽・ホスピタリティーや建設、教育・医療などを中心に雇用が増えた。ただ、教育・医療の雇用者数は2022年以来の低い伸びだった。

民間部門の雇用者数は3カ月平均で9万6000人増にとどまった。10万人増を下回ったのは、新型コロナ禍の初期以来。

労働参加率は62.7%で、前月と同水準。25-54歳の参加率は3月以降で初めて、わずかながら低下した。

平均時給は前月比0.4%増と伸びが加速。市場予想は0.3%増、7月は0.2%増だった。前年同月比では3.8%増。市場予想は3.7%増、7月は3.6%増だった。労働者の大半を占める生産部門および非管理職の賃金は4.1%上昇した。

調査会社マクロポリシー・パースペクティブズのパートナー、ローラ・ロスナーウォーバートン氏は「米金融当局には2つの道がある。金利を0.25ポイント引き下げて、この日のデータのように労働市場がさらに冷え込む兆しが示されれば追加措置を講じるとコミットする。あるいはもっと大きな幅で引き下げると同時にネガティブなシグナルを和らげるかだ」と指摘。同社は2つの道の間でまだ判断しかねているが、0.5ポイントの方に傾斜しているという。

【米雇用統計】9月利下げ幅の決め手にはならず-市場関係者の見方

統計の詳細は表をご覧ください。

原題:US Job Growth Comes Up Short in Possible Warning Sign for Fed(抜粋)

(統計の詳細やチャート、市場関係者の見方などを追加して更新します)

--取材協力:Chris Middleton.

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