(ブルームバーグ):サマーズ元米財務長官は、8月の米雇用統計は特に悪い内容ではなかったが、連邦公開市場委員会(FOMC)の9月会合での利下げ幅がどの程度になるか予想するのは難しくなったと述べた。
米雇用者数の伸び、市場予想に届かず-利下げ幅巡る議論活発化へ
サマーズ氏はブルームバーグテレビジョンとのインタビューで「確かに、数字はそれほど顕著な弱さを示してはいない。しかし、最近の統計の傾向に懸念を抱いていた人にとっては、経済の健全性を示すものではなかった」と発言。9月会合での利下げ幅が25ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)になるか50bpになるかは「私自身の1、2カ月前の予想よりも予断を許さなくなったように見える」と語った。ハーバード大学教授の同氏はブルームバーグテレビジョンに定期的に出演する。
サマーズ氏は、初回の利下げの幅が決定的に重要という訳ではなく、金融当局者は景気見通しがどう推移するかを注視し、それに応じて政策を調整を行っていくことになると指摘。「もし経済が大幅に弱体化していれば金利は大幅に引き下げられるだろう」が、そうでなければ1会合ごとに慎重なペースで利下げが進んでいく公算が大きいとの見方を示した。
日鉄の買収阻止には反対
同氏はまた、日本製鉄のUSスチール買収を阻止することには反対の姿勢をあらためて表明。「激しい政治情勢の中で最終的な結論に持ち込むべき問題ではない」とし、判断は11月の選挙後に持ち越す方が賢明だとの考えを示唆した。
バイデン米大統領、日本製鉄のUSスチール買収計画阻止へ-関係者
「この取引を阻止する正当な国家安全保障上の理由も、合理的な経済的理由もない。日本は最も強固な同盟国のひとつだ」とサマーズ氏は語った。
さらに、買収が実現すれば米鉄鋼業界により多くの資本が注入されることになり、自動車メーカーを含む国内産業に恩恵をもたらすと指摘。買収が実現した場合には、USスチールが本拠を置くペンシルベニア州が「より多くの雇用機会」を得て繁栄することを「同州で育った者として」みていると付け加えた。
原題:Summers Says Jobs Weakness Makes It Closer Call on Fed Going 50(抜粋)
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