(ブルームバーグ):半導体大手エヌビディアの時価総額が3日に2790億ドル(約40兆5000億円)吹き飛んだのを受け、市場では同社の株価が今後どこまで下がる可能性があるかについて警戒感が高まっている。
フリーダム・キャピタル・マーケッツのチーフグローバルストラテジスト、ジェイ・ウッズ氏は、注目すべき重要な水準は100ドルだと指摘する。終値ベースでの8月安値の付近だ。
ウッズ氏は「エヌビディア株が8月の安値を下回れば、少なくともテクニカル面では潮目の変化を示唆する」とし、「100ドル前後で買いが入り、そこから少しの間は横ばいで推移するだろう」と述べた。
直近の下げ(3営業日で14%下落)は、先に発表した売上高見通しが投資家の高い期待に届かなかったことが引き金となった。3日には人工知能(AI)に対する企業の支出に警戒感を示す調査リポートが2つ出され、投資家の動揺はさらに大きくなった。引け後にも悪いニュースは続き、米司法省が反トラスト法(独占禁止法)調査の一環として同社に文書提出命令状を送付したとブルームバーグが報じた。
エバコア・ウェルス・マネジメントのポートフォリオマネジャー、マイケル・カークブライド氏は、エヌビディア株にとって問題なのは、明るい材料が提供されそうな予定が当面は見当たらないことだと語る。
同氏は「われわれは現在、ちょっとした空白の時期にいる。決算を通過した一方で、9月は多くの経済指標発表が控えている」とし、「そうした空白状態にある時は、非常に短期的で向こう見ずな相場になる」と語った。
3日の急落により、エヌビディアの株価が1日で6%を超える変動となったのは過去2カ月で7回目となった。ブルームバーグがまとめたデータによると、エヌビディア株の30日ボラティリティーは2022年半ば以来の高水準となっている。
ただ、フリーダム・キャピタルのウッズ氏もエバコアのカークブライド氏も、長期的にはエヌビディア株に引き続き前向きだ。
ウッズ氏は直近の急な下げでパニックに陥る必要はないと指摘。カークブライド氏は、エヌビディア自体にも同社の決算にも根本的な問題はないとみている。
同氏は「われわれは依然として長期保有者であり、エヌビディアやその顧客、彼らの支出計画について、ストーリーがを変わるようなことは何も耳にしていない」と語った。
原題:Nvidia Rout Has Traders Watching $100-Share Level Amid ‘Vacuum’(抜粋)
--取材協力:Henry Ren、Michael Msika.
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