変わる駅ナカ!今“駅寿司”が続々と出現しています。今なぜ「寿司」が駅に進出するのか。調べてみると、“早い”だけでなく、女性客もターゲットにした“美味しい戦略”が見えてきました。
駅ナカと相性がいい“立ち食い寿司”
4月17日、JR新宿駅の改札の中にオープンした「EATo LUMINE」。
日本各地から、お土産やスイーツ、ラーメンなど28店舗が集結しています。
その中に、女性客が「駅の中で立って食べたことがないから不思議な感じ」と話すお店が!
それは、「立鮨 すし横 イイトルミネ新宿店 エキナカ」。
カウンターに並ぶネタから好きなものを職人さんが握ってくれる本格スタイルの“立ち食い寿司”です。
これまで、駅でパッと食べるといえば“駅ソバ”でしたが、今全国の駅ナカには、もっと早い“駅寿司”が急増しているといいます。
JR東日本クロスステーションデベロップメントカンパニー 原園 誠さん:
「立ち食い寿司は駅ナカと相性が良い。駅は1人の客が多いので、クイックでしかもどの時間にもお寿司は食べやすい」
まさに今、全国、駅寿司戦国時代なんです!
女性客満足の戦略は“ネタの厚さ”にあり
東京・JR新橋駅。言わずと知れたサラリーマンの街の駅にも立ち食い寿司があるということで、THE TIME,マーケティング部の重松文が行ってみると・・
「もう行列になっているじゃないですか!満席ですよ店内」
北海道の漁師町、根室発の回転寿司チェーンが立ち食いスタイルで出店した「立食い寿司根室花まる エキュートエディション新橋店」。
「いらっしゃいませ!」「ようこそ!」「いらっしゃいませ!」
あちらこちらから威勢のいい声が響く店内は、連日満員状態。
北海道産のホタテがどーんと二階建てになった握りは1貫370円(※税込)
他にも、道内以外ではほとんど出回らない、ぼうず銀宝(370円※税込)やあぶらがれい、とろにしん(各190円※税込)など珍しいネタが人気です。
しかし、ヒットの理由はネタだけではなく、女性人気が高いこともあるといいます。
立食い寿司 根室花まる 篠塚正光さん:
「女性が1人でフラっと入りやすい」
THE TIME,が取材した日も、夕方5時すぎ、最初に来店したのは女性の一人客。午後6時頃には、カウンターに4人、立ちテーブルに2人と“新橋女子”が増え始め、午後5時から9時までに来店した77人中30人が女性客でした。
その魅力を女性客に聞いてみると、「入りやすくてすぐ出てきて、おいしくてお酒も飲みたいときに飲めるっていう」「(駅ナカなので)食べてすぐ解散しやすい」と、夜のちょい飲みにもぴったりという声が。
さらに、「一貫ずつ頼めるので量を自分で好きなだけ選べるっていうのがいいし、やっぱり(立ち食い)おそば屋さんより入りやすい」
実際に3、4貫だけ食べて帰るという女性も多いそうで、小食の人でも楽しめるような戦略もあるんです。
それは、ネタの厚さ!回転寿司スタイルのお店に比べ、ネタの厚さを約2.5倍にすることで一貫の満足度を高めているといいます。
網走産のとろにしんの握り(190円※税込)ではシャリが隠れるほどのネタが・・。
「ニシンそのものの厚みをそのまま使ってますので、食べ応えは抜群!ニシンの味がそのまま出てきます」
東京駅だからこそできる“新幹線でネタ直送”
そして駅寿司の激戦区となっているのが東京駅。駅ナカでは9つもの寿司店がしのぎを削っています。
その中の一つ、「グランスタ東京」の中にある「羽田市場」は、東京・関西・九州で9店舗を展開する回転寿司店。
こちらは、東京駅ならではの“武器”があるといいます。
回転寿司羽田市場 グランスタ東京店 内山重行店長:
「東京駅は新幹線の始発、終着点でもありますので現在週2回、宮城県は石巻漁港より東北新幹線を利用して鮮魚を運んでいます」
この店では、新幹線で魚を輸送しているんです。
使っているのは、JR東日本の物流輸送サービス「はこビュン」。
早いだけでなく、世界一といわれるほど時間に正確な新幹線は、揺れも少ないことから、緊急の輸血用血液や精密機械なども運んでいます。
東日本旅客鉄道 堤口貴子さん:
「(物流の)2024年問題とかで、各地から特に遠距離のものを運びづらくなる話があるので、客席にも荷物を乗せて展開できないかと検討しています」
駅寿司で“寿司の街”アピール作戦
駅寿司があるのは東京だけではありません。
山陽新幹線のぞみの停車駅、JR小倉駅(福岡・北九州市)の改札の中に3月オープンしたのが「立喰寿し 平四郎」。
新幹線のホームに続くエスカレーターのすぐ横にある、カウンター7席のみの立ち食いスタイルの寿司店で、職人が握るお寿司を1貫88円(※税込)から楽しめます。
「九州=魚は鮮度が命と思っています」と話す通り、ネタは北九州を囲む3つの海、玄界灘・響灘・周防灘で獲れた魚を毎日地元で仕入れ、北九州ならではの寿司を提供。
サバを締めずに生で握った「活さば握り」(396円※税込み)を食べたマーケティング部の重松部員は「甘い!生のお刺身のサバ初めてです。(身が)フワッと濃厚な感じで溶けた!」
駅ナカに寿司店を誘致したワケ、それは便利なだけじゃなく、ある切実な思いもあったといいます。
西日本旅客鉄道 山本朋広さん:
「北九州は実は寿司の街なんですけど、それが世の中に全然伝わっていないということもあって、北九州の玄関口である小倉駅でしっかりとPRしていきたい」
観光や出張のお客さんをターゲットに新幹線の目の前で、寿司の街をアピール。
オープンから1か月ですが1日平均200人が足を運んでいるといいます。
取材中には、88円のマグロ1貫だけを食べ「ダメだ!時間ない!」と、滞在時間3分22秒で新幹線の発車1分前にホームへ向かっていく客の姿も。
全国で急増する”駅寿司”は、すぐ握ってくれる、選べるネタが多い、そして少量でもOKなタイパ最高の“駅ナカフード”でした。
駅寿司だけじゃない!今駅ナカに増えている“便利”な施設
駅寿司の盛況ぶりを見て、安住アナからは「確かにそれこそ江戸時代は屋台でひいていたぐらいだから省スペースでできるっていうことはあるんでしょうね。」
スタジオの島崎和歌子さんからは「え~スゴイね。いや知らなかったよ。考えた人すごいね」と驚きの声が上がった。
安住アナは、最近空港の搭乗口の真横に立ち食い寿司を見かけたそうで「時間が10分15分ある人はお弁当買うまでいかなくても、そこでちょっと1貫2貫みたいな。気持ちもリッチになりますしね」と話した。
さらにスタジオでは、駅寿司の他に「駅ナカに増えている施設は何か?」とクイズで出題。ヒントは、
1)ほとんどの人が利用した経験がある
2)駅ナカの限られたスペースでもできる
3)新たな工事や大型機材の導入などが少ない
杉山アナの「魚がいけるんだったら焼肉、1枚だけ」をはじめ、他にも「ジム」「自動販売機」などが上がる中、島崎さんは「洗面所」と即答。ホームで目の前にすぐあると便利だと話すと、安住アナから「洗面所はもうありますね。それ島崎さんの希望ばっかり、ダメ。」と諭される場面も。
「駅ナカに増えている施設」の正解は、クリニック。
現在関東だけでも、JRの5つの駅(東京・上野・阿佐ヶ谷・西国分寺・千葉)にあり、外国語対応OKや薬局が併設されているクリニックもあるとのこと。
安住アナ:
「病院のために行かなきゃいけないって考えると億劫ですけど、通勤通学のついでならばということで」
駅ナカに病院あるの?!と驚いていた島崎さんも「これはあったら楽」と納得の様子で話した。
(THE TIME, 2024年4月22日放送より)
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