(ブルームバーグ):カナダのアリマンタション・クシュタールが買収提案したセブン&アイ・ホールディングスは、銀行、オンラインチケット販売、スーパーマーケット、タワーレコードなど、実にさまざまな事業を運営している。

ここ数年は多角化があだになり、物言う株主(アクティビスト)からはコンビニ事業に経営資源を集中させるよう圧力が高まっている。コングロマリット・ディスカウントがなければもっと企業価値は高いという彼らの主張が今後、弱まることはないだろう。

外資による日本企業買収としては過去最大になる可能性のある同社は、傘下にどんな事業を持っているのか、あらためて見てみよう。

セブン-イレブン・ジャパン

2万1618店舗を展開する国内最大のコンビニエンスストア。中でも人気のおにぎりは、年間20億個以上売り上げる。国内のチェーン全店の前期(2024年2月期)売上高は5兆3000億円。プライベートブランドのセブンプレミアムは、グループ内のほかの企業などでも販売される。

国内外コンビニ事業

国内外のセブン-イレブンとそのほかの店舗は、19カ国に8万4000以上展開し、直営店だけでなくフランチャイズも営む。シンガポール、台湾、中国を含むアジアのほか、北米では「スピードウェイ」や「スノコ」のコンビニ併設型ガソリンスタンド部門を買収した。

イトーヨーカ堂、スーパー事業

2万8000人以上の従業員を抱えるイトーヨーカ堂の原点は、1920年開業の東京・浅草にあった小さな洋品店。18都道府県に216店舗展開する同グループの前期の売上高は1兆2000億円超だった。

シェルガーデンは高級スーパーで主に首都圏を中心に展開し、健康志向の食品や輸入食品を取りそろえる。ヨークベニマルは東北を中心に247店舗展開し、天満屋ストアは中国地方だ。このほか店舗から出される販売期限切れの食品などを堆肥にリサイクルし、野菜を栽培するセブンファームも経営する。

金融関連事業

セブン-イレブンの店内に設置されるATMは、いまでは外国人観光客が現金を引き出す手段として欠かせない。ATMは空港や駅にもあり、国内約2万7000台、インドネシアとフィリピンには合計約3800台、北米には約1万5400台ある。

セブン銀行の子会社FCTIは米国内のコンビニでATM設置などを手掛ける。電子マネーの「nanaco」で決済サービスを運営するセブン・カードサービス、リース事業や生損保の代理店業を営むセブン・フィナンシャルサービス、ATMを通じた送金サービスなどを提供するセブン・ペイメントサービスなどがある。

タワーレコード、赤ちゃん本舗

元々は米国のレコード店だったが、タワーレコードの日本法人は7&iHDの持分法適用関連会社だ。カフェやライブスペースを併設し、アーティストやキャラクターとのコラボレーションでアパレルやグッズを販売する。

赤ちゃん本舗は、子供服、おむつ、おもちゃ、ベビーカーなどを126の店舗と年間200万人が利用するアプリで販売する。

警備会社

子会社であるヨーク警備は、施設警備、私服保安業務、受付業務をはじめ交通・イベントなどの警備員の管理も行っている。

ネット販売、チケット

商品、電子書籍、CD、ゲームなどを販売するセブンネットショッピングは、傘下の中では最も有名なEC事業だ。このほか主要プレイガイドが販売するチケットの料金収納や発券などのサービスを手掛けるのはセブンドリーム・ドットコムだ。

ぴあは日本最大級のチケット販売サイトで、音楽イベントの主催やレジャーを中心とするメディア・コンテンツの提供を行う。東京オリンピックをはじめ、国際的なイベントのチケットも取り扱う。

ロフト

良品計画が運営する無印良品とよく比較されるロフトの店舗は、スタイリッシュなグッズを求める客を引きつける。国内138店舗を展開し、キャラクターグッズ、インテリア、文房具などの生活雑貨を販売する。

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