(ブルームバーグ):9月は伝統的にトレーダーにとって難しい月だが、米連邦準備制度の利下げが見込まれる今年の9月は特に難しくなるリスクがある。

夏休み明けのトレーダーがポートフォリオを見直す9月は、債券、株式、金が例年下落する。S&P500種株価指数とダウ工業株30種平均の1950年以降の下落率最大は9月に起こった。債券は過去10回の9月のうち8回で下落し、金は2017年以降毎年値下がりしている。

米金融当局の今後の利下げ幅と頻度を占う米雇用統計などの不確定要素に直面し、投資家は今回も荒天に備える必要があるだろう。

株価は過去最高値付近にあり、米国債は過去3年間で最長の月間ベースの連騰を記録している。衝撃的なデータや米大統領選を巡るサプライズには弱そうだ。

みずほ銀行の経済・戦略責任者、ビシュヌ・バラサン氏(シンガポール在勤)は「秋には下落がつきものだ。市場が米利下げを織り込み過ぎ、人々が『ゴルディロックス』シナリオを追いかけている今はなおさらだ」と指摘。「市場は通常よりも神経質になるだろう」と述べた。

短期間ではあったが世界的な株安に見舞われた8月が終わった今、投資家は9月6日に発表される米雇用統計に注目している。

年内に4回もの利下げが織り込まれているため、FOMCが18日の会合で予想ほど緩和的でなければ、市場が乱高下するリスクは高い。

BNYメロンの市場戦略・洞察責任者、ボブ・サベージ氏はリポートで「9月の季節性には波瀾(はらん)万丈の実績があり、リスクオフは珍しいことではないが、選挙の年はより劇的だ」と説明。市場は今週発表の「米雇用統計が今年の行方を左右すると感じている」とも指摘した。

もう一つの変動要因は、来週行われるハリス米副大統領とトランプ前大統領の初のテレビ討論会だ。選挙戦が最終局面に入ってのこのイベントは両候補の勢いを決めるものになるとみられている。

大きな賭けになるだけに、ストラテジストたちは慎重さが市場のかじ取りの鍵になると言う。

IGマーケッツのアナリスト、ヘベ・チェン氏は、「シートベルトを締めて、通常以上のプロテクションを確実にすることだ」と語った。

原題:Treacherous September Is Leaving Traders Everywhere on Edge(抜粋)

--取材協力:Joanna Ossinger.

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