8月28日、牛丼チェーンを展開する吉野家が新メニューを発表しました。その名もオーストリッチ丼、なんとダチョウ肉を使った丼です。なぜ吉野家はダチョウを選んだのか?そして、実はダチョウは食用肉だけでなく美容・医療にも役立つスーパーアニマル。ダチョウを30年研究してきた”ダチョウ博士”である京都府立大学・塚本康浩学長への取材などをもとに情報をまとめました。

世界に展開する吉野家 ダチョウ肉使用の「オーストリッチ丼」を限定販売

 1899年、明治時代に創業した吉野家。国内1240店舗、海外に933店舗(※今年7月時点)を展開するグローバル企業です。創業者は大阪の方で、奈良県の吉野の桜が好きだから吉野家になったということで、関西にも縁があります。物価高も反映して現在は牛丼並盛で498円(税込み)、テイクアウトで489円(税込み)となっています。

 吉野家は全国約400店舗ある黒看板の「クッキング&コンフォート」(大阪府内には33店舗)で、8月28日~9月3日限定でダチョウ肉を使ったオーストリッチ丼(スープ添え)を販売。スープもダチョウの骨からとっています。このダチョウ肉は吉野家ホールディングスの牧場で育てていて国産です。

 MBS山中真アナウンサーが試食してみると、柔らかく臭みもなく、脂身がない分少しパサつくかと思いきや、卵やソースが絡んで食べやすかったということです。

ダチョウを“起用”した背景 かつては牛丼のみだったが…

 なぜ吉野家はダチョウを選んだのでしょうか?吉野家で提供されているメニューはかつては牛丼のみでした。2004年には豚丼、2021年にはから揚げ丼の販売を開始しました。ほかの肉を使うきっかけになったのが「BSE」(牛海綿状脳症)で牛肉が輸入ができなくなったことです。

 そうした中、ダチョウ肉を選んだ背景は食糧危機にあります。地球上の人口は増加しているため、食料は将来的に足りなくなるのではないかと言われ始めています。

 1kgの鶏肉・豚肉・牛肉を生産するのに必要なエサの量は、とうもろこしに換算すると鶏で4kg、豚で6kg、牛は11kgです。人口が増えて人類の食料が足りなくなるのであれば、牛を育てるより人類が直接とうもろこしを食べた方が効率がいいかもしれない、という考え方もあり、牛の生産は今後“とても贅沢”という考え方になるかもしれません。

 また、牛が吐き出すゲップにはメタンガスには二酸化炭素の25倍の温室効果があるそうで、現在の地球上の温室効果ガスの5%は牛・羊・山羊のゲップから出たメタンガスと言われています。こうした環境問題・食糧問題から昆虫食なども言われていますが、その前にダチョウはどうかという話になってきているということです。

4億年前から変わらない姿のスーパーアニマル「ダチョウ」 栄養面もピカイチ 

 では、ダチョウとはどんな生態なのか。吉野家では2017年から研究が進められているダチョウ。世界最大の鳥で大きさは約2~2.5m、体重は約160kgあります。2足歩行では最速で時速60~70km走ることができ、30分以上走れる持久力も兼ね備えています。そして能力の高さに関係してくる特徴が、4億年前から変わらない姿。ただ、能力高い反面、残念なところもあります。脳は40gしかなく、京都府立大学・塚本康浩学長によると“アホ”だということです。自分の家族を忘れてしまって産んだ卵を踏んでしまうこともあると言います。

 食肉として考えたときの栄養面では、カロリーや脂質が低く、鉄分やビタミンBが多い。そのためアスリート向きとも言われています。

鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。