(ブルームバーグ):人工知能(AI)関連需要から大きな恩恵を受けるとウォール街が注目していた企業の株価が、ネガティブなニュースにより急落している。会計を巡る疑念が生じており、押し目買いの投資家も近づこうとしない。

その企業とはスーパー・マイクロ・コンピューターだ。同社株はこのままいけば、月間ベースでは6年近くで最悪のパフォーマンスとなる。空売り投資家が会計上の問題がある可能性を指摘したほか、年次報告書(フォーム10K)の提出遅延が明らかになったことが嫌気された。同社を巡っては、8月上旬に発表した決算が期待外れな内容となり、その時も株価が大きく下落していた。

スーパー・マイクロのフォーム10Kの提出遅延に関するブルームバーグTVのリポート

スーパー・マイクロにとっては突然の変転だ。同社は3月にS&P500種株価指数に採用されたが、株価は同月に付けた高値から64%下落している。今週も下げており、週初からの下落率は一時36%となった。

空売り投資家ヒンデンブルグ・リサーチは27日、スーパー・マイクロに対するショートポジションを建てたことを明らかにした。同社を調査した結果、「明白な会計上のレッドフラッグ(危険を知らせる赤旗)、未公表の関連者取引の証拠、制裁および輸出管理の不手際、顧客問題」が明らかになったとリポートで指摘した。またスーパー・マイクロは28日、2024年度(6月30日終了)のフォーム10Kを適時に提出できないとの見通しを示した。

スーパー・マイクロの広報担当は、ヒンデンブルグのリポートについてコメントを控えた。年次報告書の提出遅延については、広報担当は「内部統制の評価にさらなる時間が必要だ」とした上で、既に発表した直近の会計年度および四半期の業績について修正は行っていないと説明した。

フェニックス・ファイナンシャル・サービシズのチーフマーケットアナリスト、ウェイン・カウフマン氏は「AIサーバーが極めて重要な事業であることに変わりはないとしても、フォーム10Kの提出遅延は不透明感を強めることになるだけだ」と指摘。「株価はここから大きく下げていくと予想される」と述べた。

他のアナリストはスーパー・マイクロ株にネガティブな見方だ。バンク・オブ・アメリカ(BofA)は29日、スーパー・マイクロの投資判断を精査中に変更。「提出遅延と、精査で何かしらの事実が判明する可能性が一段の不透明感を招いており、われわれとしてはスーパー・マイクロのファンダメンタルズを評価することができない状況だ」と説明した。

CFRAは、ヒンデンブルグのリポートが発表された後にスーパー・マイクロの投資判断を引き下げた。「示されている証拠は、重大な会計不正や検証可能な制裁逃れを決定的に証明するものではないと考えるが、スーパー・マイクロによるフォーム10Kの提出遅延と同社の評判への潜在的なダメージは懸念を生じさせる」と記した。

原題:Super Micro’s Red Flags Are Stop Sign For Cautious Dip Buyers(抜粋)

--取材協力:Jeran Wittenstein.

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